2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on the history of Japanese dialects with a perspective of contrasting dialects
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23K00557
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
久保薗 愛 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (80706771)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 方言史 / 鹿児島方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,鹿児島方言史の再構築を主軸としつつ,他の方言史と対照することで多様な日本語史の記述を行い,方言の歴史的変化の要因の解明を目指すものである。このような複数の方言史の比較・対照を行うためには,複数の文献を扱うことになり,またよく知られた既存の方言文献だけでなく新出の資料にも目を配ることになる。個々の文献は,さまざまな資料性(著者の属性・資料の成立過程・筆録態度など)を持っており,それぞれ異なった性質を持つ文献をひとしなみに扱うこと、ひいてはその言語現象を一律に扱うことはできず,当然個々の文献の性質を検討したうえで言語現象の分析に進まなければならない。 そこで,今年度は今後進める言語現象の分析の基盤となる作業として,いくつかの方言文献の書誌調査や資料性の検討を中心に行った。それらの研究成果のうち,1件を取り上げて口頭発表を行った。 (1)口頭発表:久保薗愛(2023)「方言文献としての『藥師瑠璃光如來本願功徳經 直読訓點 完』について」岡山大学国語国文学会,オンライン開催,2023年12月 また,さまざまな方言文献に基づく史的研究を展開するためには,改めてこれまでに行われてきた方言史研究の整理や方法論の検討を行う必要が出てきた。そこで、方言史研究の展望と課題も含めて方法論の整理を行った研究論文を発表した。 (2)研究論文:久保薗愛(2023)「文献に基づく方言研究の方法」『方言の研究』第9巻,日本方言研究会
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在は資料性の検討など基礎的な作業を進めているが,鹿児島方言を反映する文献や談話資料を対象とした用例調査も順調に行っている。また,当初予定していた東日本の文献を対象とした用例調査も継続している。研究成果としては方言史そのものの記述はまだ発表できていないが,それは方言文献として活用できそうな文献の存在が確認でき,研究成果としてそちらを優先的に公表したためである。方言史の記述研究がやや遅れているが,許容範囲内といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き方言文献および方言談話を対象とした用例収集と分析を進める。それとともに現代の話者を対象とした調査の準備を行い,実際に調査を行う。また,資料性の検討が終了し次第,文献とのつきあわせを行う。
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Causes of Carryover |
書籍が若干安く買えたため,若干の次年度使用額が出た。これは来年度の物品費の一部に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)