2023 Fiscal Year Research-status Report
A MERGE-based cross-linguistic study on quantification
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23K00589
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 陽一 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (50301271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 雅子 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (00708571)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 生成文法 / 大併合 / クレフト構文 / 多重焦点 / 等位接続詞 / FormCopy |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、日本語のクレフト構文における多重焦点の構造について検討した。Takano (2020)において、多重焦点は[X, Y]の構造を持つと主張されているが、この構造からはXとYが相互にc-commandできることになる。しかし、XもしくはYに照応形が含まれる場合、XがYに含まれる照応形の先行詞にはなれるが、Xに含まれる照応形の先行詞にYがなることはできない。つまり、XがYをc-commandする構造になっており、[X, Y]構造は維持できないことを意味する。 このXとYの非対称性を捉えるために、Chomsky (2013)に従い、[Conj(unction) [X, Y]]構造からXが上昇移動を起こし、[X Conj [<X>, Y]構造を形成すると主張する。この移動の結果、XはYをc-commandする一方、YはXをc-commandできないことになる。この分析は日本語に非顕在的な等位接続詞が存在することを示唆するものであり、意味的側面から日本語における非顕在的な等位接続詞の存在を示唆したMitrovic and Sauerland (2016)を支持するものである。 さらに、本分析のもと多重焦点に関する言語間差異についても検討を開始した。英語で多重焦点が容認されない事実について、Boskovic (2008, 2009, 2012)が提唱するDP言語とNP言語の構造的な差異から、DP言語である英語においては[Conj [X, Y]]の構造が相(phase)を形成するとし、XとYがそれぞれの元位置にあるXとYをc-commandできず、元位置のXとYがコピーと見做されず問題が生じると考える。 クレフト構文に加えて、分担研究者である前田雅子氏は日本語のsyntactic amalgamについて統語分析を行い、引用句に関わる併合の特性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
日本語のクレフト構文における多重焦点について、データ整理を終え、分析の方向性も確立できた。すでに言語間差異について分析を開始しており、初年度としては計画以上に進展したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、分析の精密化ならびにデータ(多言語における多重焦点化)の幅を広げていく予定である。また、理論的帰結についてもさらに詰めていく。なお、初年度の研究成果については国際学会に応募する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、遠隔会議システムならびにメールを用いて、共同研究者の前田雅子准教授との意見交換等がスムーズに運び、旅費に余裕ができた。今年度の研究が計画以上に進展したことを受け、次年度は、すでに計画されている研究テーマに加え、国際学会への出張旅費等、研究成果の公開に予算が必要になる。
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Research Products
(1 results)