2023 Fiscal Year Research-status Report
外国人散在地域における企業と連携した日本語支援体制整備に関する研究
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23K00619
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
服部 圭子 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (30446009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
御舘 久里恵 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 教授 (60362901)
新矢 麻紀子 大阪産業大学, 国際学部, 教授 (70389203)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 地域日本語教育 / 日本語支援体制 / 外国人散在地域 / 多文化共生 / 企業との連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 外国人支援活動に関わる機関や人々の問題意識を質的・量的に分析し,企業での日本語支援に対する認識の拡がり,支援活動が立ち上がる過程を調査・観察し,課題を明らかにすることである。さらに,外国人散在地域における日本語支援体制の構築,住民を巻き込んだ地域づくりのモデル構築を目指す。①地域との交流の視点を踏まえた外国人労働者への日本語支援体制整備はいかにあるべきか,②生活支援のしくみや多文化共生の街づくりの構築に寄与できる日本語活動をいかに提案できるか,③その過程における各機関のコーディネーターの役割は何か,という問いに対し実証的な解明を試みることを確認した。 本年度は,企業(関西のX地域)へのアンケートをもとに,企業A社の関係者およびA社で働く外国人に対するインタビューを行った。それらの分析から,企業の外国人担当者・市役所担当課・当該地域のボランティア団体が連携して,企業の寮を利用した日本語活動やイベントを開催することになり,上記②に関わるアクションリサーチを実施中である。それらの日本語活動を通じて,企業Aの外国人労働者との関係性が深まり,今後の実践研究活のとなりえる状態をつくることができた。 またX地域が所属する県の経営者協会を訪問し協働で県全体の企業を視野に入れたアンケート調査の実施について検討を行った。先行のアンケート項目を修正・追記する準備を行っている。また当該県の約80の企業・機関および個人が所属する「外国人問題研究会」に参加し情報収集を行うことになった。 本研究課題に関する研究成果の一部を英語でまとめ,編著書"Language Support for Immigrants in Japan: Perspectives from Multicultural Community Building"に著した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,調査対象地域の企業や市役所担当課とのネットワークづくりや,県全体を視野に入れた調査に向けての人間関係づくりに時間を費やすことになった。その成果は大きく,インタビュー等で得た内容から今後の調査の方向性を検討したものの,大規模なアンケート調査案を完成させるには至らなかった。また関係者の体調や業務などの理由により,研究分担者との対面での研究者会議の実施が1回にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
地域の団体や「外国人問題研究会」等で,研究成果の発表の依頼もある。実践調査・研究で得た知見を,学会等でも発表していく予定である。2024年度は、海外の学会での発表を予定している。 今後は,県全体を対象とした本格的なアンケートと,それに伴うさらなるインタビュー調査を実施し、文字化の作業などを進めて分析データを整え分析予定である。また企業B社の訪問や関係者へのインタビューも実施する必要がある。さらに,企業の寮で実施しているイベントや日本語支援活動、および企業外での定期的な活動でのアクションリサーチの継続を通して、企業内外の日本語支援体制について検討を始める。 アクションリサーチ等を行っている地域の市役所との関係性も深まりつつあるため、地域づくりや地域のネットワーク・体制づくりに関して連携していくことに並行して,コーディネータにの役割や働きにも注目する予定である。
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Causes of Carryover |
調査先の事情もあり,対面会議や出張インタビューが予定より少なくなった。出張費や,データの文字起こし用の費用の消費が予定より少なくなった。次年度は早めの出張計画を立て、調査先の都合が悪い場合には他の訪問先を検討するなどしてインタビューを行い,分析のためのデータ収集および分析用の文字起こしを進めていく予定である。
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