2023 Fiscal Year Research-status Report
複線径路等至性アプローチによる20世紀のウラジオストク市における日本語教育史研究
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23K00630
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
竹口 智之 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (80542604)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ウラジオストク市 / ユジノ・サハリンスク市 / 歴史の地域性 / ライフストーリー |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、20世紀後半から現在に至るまでの、ロシア極東地域(以下極東地域)における日本語教育史を分析した。 極東地域における日本語教育の当事者を対象にした研究は、これまでロシア人教員・大学生が主であった。2023年度における研究では、ユジノ・サハリンスク市で 14 年間(インタビュー時)日本語教育に携わっているA先生と、ウラジオストク市で22年間(インタビュー時)日本語教育に携っているB先生という、日本語ネイティブ教師に調査協力を受けている。インタビューデータをMAXQDA2018によって分析を行った結果、A 先生は2期、B先生は3 期の時代区分が妥当と判断した。また、それぞれがいかなる社会観を抱いたかも明らかになった。一連の分析から、地域社会からの要望や状況の変化に、両先生がいかに柔軟に対応してきたかが明らかになった。また先行研究で言及されている、海外における教育活動の必要条件を、両先生は実践を通して身に着けた可能性が高いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間中、訪露を計画していたものの、長引く戦争のため実現に至っていない。また、日本に滞在していると思われた調査協力予定者も、私事などで調査が叶わなかったこともあり、インタビュー実現が部分的となった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは教科書分析を継続する。『Учебник японского языка』には読解や会話のセクションもあり、時代性・政治性を反映していると思われる語彙も見受けられる。全3巻ある『Учебник японского языка』のどの巻が政治色のあるものとなっているか、定量的分析を行うことで立証する。この分析により、ロシア極東各地域での日本語教育の側面を、部分的にでも窺うことができると思われる。 次に、1990年代以降、ロシアの極東地域で日本語教育を始めた学習者、及び教員にインタビューを実施する。特に1990年代はロシア共和国誕生前後その後の経済混乱と重なっており、このような時代背景が彼らの日本語教育にどう影響したかを考察していきたい。
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Causes of Carryover |
ロシア・ウクライナ戦争の長期化により、ロシア訪問が叶わなかった。また、当初予定していた調査協力者へのインタビューも、諸事情で延期・中断せざるを得ない状況になった。 代替案として、これまでのインタビューを文字お越しする業者に文字お越しを委託する。このことでより緻密で迅速な内容分析に励むことができると思われる。
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