2023 Fiscal Year Research-status Report
「聞き手に働きかける要素」の韻律的特徴とその習得をめぐって
Project/Area Number |
23K00639
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
須藤 潤 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (00454968)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 韻律的特徴 / 日本語学習者 / 非流暢性 / 雑談 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、話しことばの中の「聞き手に働きかける要素」に対する日本語学習者の意識や習得への関心について調査・研究を実施するというスケジュールであったが、学習者への調査の実施までは行わず、代わりに、「雑談」を切り口に、雑談指導で項目として挙げられている、相手の発話に対する共感や反応のためのストラテジーに韻律的特徴が関われる余地について、教材を含めた従来の研究成果を踏まえて検討を行った。そして、韻律的特徴のうち、文節末の音調については、学習者コーパス「多言語母語の日本語学習者コーパス」(I-JAS)の対話音声を観察し、学習者の発話における韻律的な特徴、および、指導の可能性について検討を行った。今後は、接触場面の雑談について、学習者の問題点について調査を行うとともに、ストラテジーとして韻律的特徴を利用することの可能性や効果について、さらに検討を進めていきたい。 一方、本研究と関連し、学外の研究者との共同研究として、フランス語が母語の学習者に「つっかえ」(とぎれ・延伸)を学習してもらったうえで、短文や文章を読み上げてもらう実験を行い、その読み上げ音声の分析について、学会発表を行った。さらに、それらの音声に対する一般の母語話者の評価について、現在論文としてまとめているところである。また、2021年度に学会発表を行った学習者の自問発話の音調に関する論考については、本年度、『流暢性と非流暢性』(ひつじ書房)所収の論文として刊行された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来は、学習者を対象とした調査を行う予定であった。しかし、コーパスで得られる範囲のデータでより調査の精度を高めることも必要であるため、コーパスの調査を先行する方向で進めているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
一定の条件下でのデータとなるが、学習者コーパス「多言語母語の日本語学習者コーパス」(I-JAS)から、条件に合う文節末や、特定のフィラーの音声データを抽出し、音響分析を行い、音声的な特徴を探りたいと考えている。当初の予定にはない段階ではあるが、今後学習者の雑談等の調査に向けて、精度を高める目的であり、当初設定した到達目標に今のところ変更はない。
|
Causes of Carryover |
予定していた調査を次年度以降に実施する予定であるため、また、研究旅費についても、学内資金でほとんどまかないきれたため、次年度使用額が生じている。使用計画については、令和6年度および令和7年度で実施予定の調査や、成果発表の使用を想定している。
|
-
-
-
-
[Book] 流暢性と非流暢性2024
Author(s)
定延利之, 丸山岳彦, 遠藤智子, 舩橋瑞貴, 林良子, モクタリ明子編
Total Pages
537
Publisher
ひつじ書房
ISBN
978-4-8234-1208-0