2023 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Self-modification Possibilities in Human-AI collaborative English Writing
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23K00724
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
斎藤 隆枝 帝京大学, 理工学部, 講師 (20827802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 健志 前橋工科大学, 工学部, 講師 (00972407)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 機械翻訳 / AI翻訳 / AI評価システム / 生成AI / ChatGPT / 英語ライティング / 授業実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は前半を研究の準備期間に充て,2023年9月から2024年1月までの後期授業期間にAI翻訳・評価システムを用いた英語ライティング自己分析のための指導を実施した.研究計画を立てる中で英語ライティングの自己分析に用いるツールを選定するために,無料で利用できるAI翻訳・評価システムの比較検証を行った.その結果,単独使用で英語の質を十分に向上させるツールはなかったものの,複数のツールを組み合わせて使用することが有用であることを確認した. 授業実践では与えられたトピックに沿って学生が400ワード程度の英作文を書き,その後複数のAI翻訳・評価システムを用いて学生自身が英作文の英語を分析する方法を指導した.一部のクラスでは学生の第一言語(主に日本語)で書いたエッセイを複数のツールや方法を用いて英語のエッセイに仕上げる指導を実施した.授業開始前に学生を対象に実施したアンケートでは多くの学生がAI翻訳・評価システムを学習のために使用しているものの,これまでそれらのツールの使用方法について学んだ経験はほとんどなく,そしてその使用方法の習得に強い意欲を持っていることが分かっていた.また,英語力に関係なくAI翻訳から出力された翻訳結果の正確性を信用する傾向も認められた.後期終了時に実施したアンケートでは複数のツールの使用法を学ぶことは今後も自立的に英語で書く自信につながること,AI翻訳・評価システムから出力される結果を疑義を持つ必要性に気づくことなどが示唆された. 授業期間終了後,学生の英作文を評価するためにChatGPTを含む生成AIを用いる比較検証を実施した.その結果,ChatGPTが英文評価のツールとして機能する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年12月のChatGPTリリースにより,本研究に関連した生成AIの有用性について検証する必要性が急務となったことから研究計画を大きく見直す必要性に迫られた.しかしながら,その見直しの過程で学生の生成AIの使用状況調査,大学教職員の生成AI活用,そして生成AIを英語ライティング指導に用いる試みについて検証できたことは研究計画時には予期していなかった成果となった. 大学の英語科目内で実施した英語ライティング指導においては当初の予定から変更して複数の指導パターンを複数のクラスで実施することで,半期の授業期間でそれぞれの指導パターンの比較検証が可能となった. 以上のことから,おおむね研究は順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べた通り,研究者らは生成AIを効果的に英語教育に取り入れる必要性があるとの立場を取る.2024年度は生成AIをライティング指導のプロセスにいかに効果的に組み込むかという視点を持ちつつ,学生の学習意欲を満たす,かつ効果的なライティング指導の方法についてさらに調査を進めたい. また,2023年度に実施した授業実践を通して研究者らは学生たちの日本語能力が英作文の質に与える影響に興味を持った.生成AI,AI翻訳・AI評価システムが広く日常に浸透する中,学生の基本的な日本語力と英語力との関連性について調査を進める予定である.これらの知見を合わせて,英語科目の履修終了後も学生が自立的に英作文の英語の質を向上できるスキル習得のための指導方法について研究を深める予定である.
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Causes of Carryover |
2023年度の調査結果から,母語(日本語)の明示的な知識の利用能力の差異が機械翻訳やAI評価システムの効果的な利用に影響している可能性があることが示唆された.よって,2024年度は機械翻訳やAI評価システムを使用した英語の自己分析能力と日本語能力との関連性の分析を検討している. 日本語能力の測定には外部テストを利用することから,2023年度に執行予定であった研究費をできる限り2024年度に繰り越したことにより次年度使用額が生じた.次年度使用額は2024年度請求額と合わせて,主に英作文自動採点プログラムの使用料,英語力を測るテスト,日本語能力を測るテストに使用する計画である.
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