2023 Fiscal Year Research-status Report
批判的思考力育成のための教材と教材準拠型批判的思考力テストの開発とその効果の検証
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23K00740
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
朝美 淑子 大分大学, 経済学部, 講師 (70804607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大下 晴美 大分大学, 医学部, 准教授 (00618887)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 英語教育 / 英語ディベート / 批判的思考力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度から段階的に施行されている高等学校学習指導要領に伴い,英語による発信力と批判的思考力の育成を目的とした英語ディベート活動の重要性が高まっている。しかし,英語ディベートの実践例・指導例の不足や生徒のディベートに対する心理的抵抗感により,英語ディベート活動の実施率は非常に低い。本研究では,生徒の英語ディベート活動に対する心理的抵抗感を軽減すると同時に批判的思考力の育成に資する導入期用教材を開発し,その教材の効果を検証することを目的としている。 1年目である2023年度は,申請者が先行研究で作成した反駁に対する心理的抵抗感を軽減するための教材Dare To Be Different(以下,DTBDとする)を批判的思考力育成のための教材に改良するために,(1)DTBD教材のゲーム性・ルール等の再検証,(2)批判的思考力を高めるためのDTBD教材のQuestionの検証を行った上で,(3) Dare To Be Different-Critical Thinking(以下,DTBD-CT)を開発し,この教材で育成可能な批判的思考力の構成要素を検証する予定であった。上記の計画を達成するために,先行研究を調査をしたところ,英語ディベート活動で育成可能な批判的思考力に関する定義自体が見当たらないことが明らかとなり,その定義を行う必要があると考えた。そこで,批判的思考力の一般的な定義,英語教育における批判的思考力の定義,ディベート活動に必要とされる思考力の定義を基に,英語ディベート活動で育成可能な批判的思考力の定義とその要因(2要因)・下位項目(7項目)を設定し,理論的枠組みを行った。さらにDTBDを通してその要因や下位項目の育成が可能かを検証し,その改善点を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度に,批判的思考力における一般的な定義,英語教育における批判的思考力の定的態度」と定義した。さらに,その要因を認知的側面と情意的側面の2要因とし,認知的側面の下位項目を5項目,情意的側面の下位項目を2項目設定した。また,この理論的枠組みに基づいてDTBD活用の可能性を検証したところ,情意的側面の2つの下位項目についてはDTBDを通して十分に育成可能であるが,認知的側面の4項目については,一部の条件は満たしているものの改善が必要であることが明らかになった。さらに,認知的側面の1項目については,DTBDには含まれていないことも分かった。以上の内容については,論文化を行い,現在投稿中(審査待ち)である。 一方,研究代表者の勤務先変更のため,学生を対象とした予備調査を実施することができなかったため,当初の計画で挙げていたDTBDのQuestionの検証,およびDTBD-CT教材の開発には至らなかった。しかし,2024年度以降はディベートの授業を研究代表者が担当する予定であるため,予備調査を実施し,DTBD-CTの開発を行うことができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,2023年度に行った英語ディベート活動で育成できる批判的思考力の理論的枠組みを基に,DTBD-CTとそれに準拠した批判的思考力テストの開発を行う。まず,DTBD-CTで扱うQuestionを検証し,作成したQuestionが英語ディベート活動を通して育成すべき要因・下位項目の内容を満たすかどうかについて大学生を対象とした予備調査を実施する。次に,2023年度に明らかになったDTBDの改善点,前述のQuestionの検証結果を基に,DTBD-CTを開発する。さらに,批判的思考力テストに関する先行研究を概観し,DTBD-CTに準拠した批判的思考力テストを開発する。開発したDTBD-CTおよびそれに準拠した批判的思考力テストについては,その評価指標の妥当性・信頼性を検証するために,予備調査を行う予定である。以上の内容を研究成果として,学会での口頭発表および論文として発表する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度中にDTBD-CTの教材開発にまで至らなかったため,教材作成のための費用を使用せず,次年度使用額が生じた。2024年度は,教材作成のための費用,予備調査に伴う印刷費,論文化に伴う投稿費が必要となるため,2023年度の未使用額と次年度予算を合算し,使用する予定である。
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