2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K00825
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
木下 聡 東洋大学, 文学部, 教授 (40778651)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 室町幕府 / 奉公衆 / 直臣 / 文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
室町幕府における将軍の近臣を考える上で、基本となる将軍直臣たち(研究によって対象は奉公衆や近習など少し異なる)についての先行研究をまとめ、とりわけその中心となる福田豊彦氏の研究の位置づけをおこなった「室町幕府研究における将軍直臣たち」を上梓した。 また、室町幕府将軍の近臣は、その多くが奉公衆身分に出自を持つ。奉公衆は様々な役職を幕府内で担っていたが、そのうち将軍御台(正室)に附庸された者たちもいた。将軍御台の研究は、誰であるか、どのような役割を果たしたか、側に仕える女房たちなどが検討の中心であったが、幕府・実家から附庸された武士・内者についての考察はほとんどなされていなかったので、御台に附庸された奉公衆は誰であるかを史料上から検出し、その出自・職務を検討した。その成果は「室町幕府将軍御台被官と附庸奉公衆」として論文化し、御台に附庸された奉公衆の一覧を示し、彼らの果たした役割として、①御供をする、②申次をする、③使者を務める、④進物の受け取り、⑤八朔奉行などを務めたことを指摘した。 個別の事例は、戦国期の美濃守護土岐頼芸(斎藤道三に追放された人)の弟で、幕府直臣としても活動した揖斐光親について、その生涯と政治的動向、政治的位置づけについて明らかにした。 また、近臣を考える上で重要な、将軍の発給文書について、11代将軍足利義澄と12代将軍足利義晴の発給文書を集成して、史料集として刊行する準備を行い、義澄については、花押の変遷も考慮する必要があるため、原本・写真・影写本を閲覧して、年代比定などの作業を行っている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況としては、史料の集積ぐあいなどおおむね研究開始前に想定していた通りである。ただ、国内機関への出張調査は、当初想定していたよりも行くことができなかったので、次年度は時間をうまく調整して赴くようにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進は、特に変更をもうけることなく、計画していた通りに、史料・事例の集積と、それに基づいた個別事例の検討、史料集の作成と史料翻刻などを進めていくつもりである。
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Causes of Carryover |
少額であったため、次年度に繰り越して、物品などの使用に用いることにした。
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