2023 Fiscal Year Research-status Report
日本古代王権の持続的継承を可能とするキサキ序列の構造に関する研究
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23K00859
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
鈴木 琢郎 就実大学, 人文科学部, 准教授 (50758662)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 皇后制 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画では、2023年度から2025年度までの3年間の研究計画として、主に基礎史料の史料論的分析を中心に行うことを挙げている。とくに『冊命皇后式』などの立后儀式関係の分析を中軸とする計画である。写本複写物や実見検討を実施することで、当該課題を実施していく計画である。 2023年度に実施した研究の実績は、上記研究計画に基づき、キサキ序列の構造を分析する上で重要な史料となる『冊命皇后式』の写本の分析を実施した。既に入手している東山御文庫所蔵の巻子本と冊子本の二本の検討を実施し、江戸時代霊元天皇期における朝儀復興事業の関わりから、この両本成立の要因を究明している。先行研究の理解の基本的な誤りを確認し、写本借用関係の推移を整理し終えている。 また、京都大学図書館所蔵の菊亭本を実見の上で分析し、東山御文庫所蔵の二つの写本との関係について検討を加えている。実見の結果、菊亭本は東山御文庫本の精密な筆者本であり、霊元天皇による伏見宮家所蔵典籍の書写事業の最中、これに関わって菊亭家が自家所蔵のために改めて東山本を書写した可能性があることを確認した。 また、『冊命皇后式』成立要因についての検討も実施している。藤原行成が作成したものである可能性が非常に高く、行成の日記『権記』の記事に先行する叙述がなされていることも確認した。藤原彰子立后儀に際し、行成が先例を収拾しつつ、当該儀式の記録を作成し、これをもとに『権記』が作成されたことはまず間違いない。 成果等については、現在論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
基礎史料研究は三か年計画として立案していた。個別事例の検討ではなく、史料そのものの分析であるため、一般的に長期間を有するとの目測であった。 自身の調査不足なのだが、近年の資料デジタル化により、遠征をせずともインターネットで確認できる史料が格段に増えていることが一つの要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定よりも順調に進んでいるが、本研究はあくまで基礎研究を目標としているので研究成果をより洗練させる方向で研究を進めていく予定である。 旅費等についてはインターネット公開史料を使うことで代替できるものが多く確認されたが、それでも全ての史料の閲覧環境がそのようなものではない。予定とは異なる史料となる可能性はあるが、実見検討を実施することについては変更する予定はない。
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Causes of Carryover |
東京方面への史料実見を予定していたが、予定史料がWeb公開されたためにこれを中止し、25年度に予定していた京都方面への史料実見に変更したため、その差額が生じた。 差額については、次年度に東京方面への出張費として使用する予定である。
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