2023 Fiscal Year Research-status Report
Constructing a local model of the obsidian hydration dating for subarctic regions in the Japanese Archipelago
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23K00942
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中沢 祐一 北海道大学, 医学研究院, 助教 (70637420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 隆 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (70593953)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 黒曜石 / 水和層 / 含水量 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺跡における効果水和温度推定のための年間の温度データを収集する目的から、北海道の黒曜石原産地および長野県黒曜石原産地付近に温度ロガーを埋設した。また、北海道大雪山系の周氷河環境に位置する遺跡踏査を実施し、地表面に分布する遺物の範囲を確定した。合わせて中央付近に温度ロガーを設置した(環境省の許可取得済み)。 同一遺跡同一石器群(長野県・中ッ原第一遺跡G地点)に由来する黒曜石の水和層厚が産地間(NK産および蓼科冷山系)で異なることの要因について、黒曜石の含水量の多寡が影響していると考えた。その仮説を確かめるため、産地の異なるサンプル間の含水量(数%未満)を体系的に測定する目的から、FTIR法およびラマン顕微分光法を用いた分析に着手した。結果、FTIR法では水分のピークがみられたが、ラマン分光法では水のシグナルが明確にみられなかった。サンプルを固定したエポキシ樹脂などの影響が疑われた。そこで、プレパラートに固着させないむき出しの黒曜石薄片を準備し、厚さの異なる薄片(20,40,60μm)を用いた計量を実施した。その結果、薄片の厚さにかかわらず、FTIR法・ラマン顕微分光法ともに安定した水のピークを検出することができた。 北海道の後期更新世から完新世初頭に相当すると考えられているが、明確な年代測定値が得られていない遺跡について、黒曜石水和層法による年代測定を試みた。プレパラート法によって遺跡出土黒曜石の薄片を偏光顕微鏡を用いて水和層の観察を行った。計測した水和層の厚さについてばらつきなどを評価した後、2遺跡については年代算出まで実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基準サンプルの計量などもあり含水量の測定に時間を要しているが、試行錯誤を経たことで、サンプル準備から分析までのノウハウが蓄積できた。利用できる遺跡の選定もほぼ確定し、サンプルの観察・計測も順次進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
FTIR法については、検出した水分子のピークを重量%に変換する必要があるため、含水量が既知の標準岩石粉末の分析を実施する。ラマン分光法についても、今年度得られた適切な製作法によってサンプルを準備し、水和層と未水和部分などの計量に着手する。考古遺跡のサンプルについても、観察・計測が完了したサンプルのうち、含水量測定に有効と考えられるものを選別する。各所に埋めた温度ロガーを回収し、温度データを整理する。
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Causes of Carryover |
含水量を測定するためのFTIR装置の部品の供給が遅くなり、次年度使用額が生じた。この使用額は必要部品を補うことに用いる予定である。
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Research Products
(8 results)