2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K01013
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 平 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (80632116)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 殖民 / 暴力 / 平和学 / ディコロナイゼーション / 広島 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
7-11月にかけて、アオテアロアニュージーランドのオークランド大学にて訪問研究員として研究を行った。5月と12月に、「台湾高地先住民との関わりから考える脱殖民化」に関する市民向け講演を行った(主催:労働者協議会、神戸・南京をむすぶ会)。戦争トラウマに焦点を当てたものとして、6月に「戦争の後遺症を抱えた元日本兵の家族の終わらない戦後:当事者による組織化と当事者研究」(主催:PTSDの日本兵の家族が語り合う会)、12月に「日本軍兵士の戦争トラウマと、子や孫世代への影響:黒井秋夫さんと語り合う会、そして野崎忠郎さんの小説を中心に」(主催:広島平和教育研究所)の講演を行った。アオテアロアニュージーランドにおいては研究成果の中間報告として、11月にSeminar: Decolonization both in Japan and Aotearoa NZ: From an Autoethnographic Viewと題して報告した。12月に共催として、ウラン採鉱に関わったカナダ先住民と広島被爆者の交流を描く映画「寡婦の村」の上映会と監督講演会を広島市で行った。2024年1月、アーティストの飯山由貴を招いた「アーカイヴズ・記憶と現代を架橋する」において、コメント「表現としての研究とアート、戦争責任/殖民地責任、分有と脱殖民化」を行った。3月、東北大学戦争記憶研究会において、「過去の殖民者日本人が戦争記憶を聞くこと:台湾高地先住民集落での殖民地戦争をめぐって」を報告し討議した。また戦争トラウマについて2世、3世への聞き書きを行っている。このほか、戦争トラウマ研究会を継続して開催し討議した(4月、7月、11月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたオークランド大学での研究を行った。諸般の事情により4か月半という期間であったが、パケハ・アイデンティティについての歴史的展開を一定程度たどり資料収集した。日本軍兵士の戦争トラウマ関連の問題、被爆地広島における戦争トラウマについては、各地での集会に当事者としても参画しつつ継続して研究を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
アオテアロアニュージーランドにおけるパケハアイデンティティについて引き続き研究を行う。当事者研究ということを思考分析しつつ、戦争トラウマの世代間連鎖についての聞き書きと資料収集を行う。今年度に多く行った講演と報告の内容を精査し、活字としていく。2024年度にはAssociation for Asian Studies in Asiaにて関連の報告を行う予定である。平和教育についての英語論文を、研究会を開催しながら国際共同執筆の予定である。
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