2023 Fiscal Year Research-status Report
養子縁組制度の需要の変容と「子のための養子」理念との相克に関する日独比較法研究
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23K01071
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
床谷 文雄 奈良大学, 文学部, 教授 (00155524)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 養子縁組 / 内密出産 / 特別養子 / ドイツの養子縁組実績 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度(2023年度)は、研究全体の基盤を作るために、日独における関連文献の読解と最新情報の整理を主に行った。 ドイツ、オーストリアの養子法研究に関してわが国での先行研究である鈴木博人教授、岩志和一郎教授の著作から、本研究の参考となるところを読み返し、研究手法の再確認をした。ドイツ法については、ドイツ民法コンメンタール(注釈書)、養子縁組の専門書において示されている養子縁組に関する判例、養子制度の利用に関する現状を理解し、分析することを進めた。また、ドイツの統計局がウェブサイトで公表している児童福祉関係の統計を調査して、養子縁組の利用の実数の変化(利用の減少)を確認した。 2023年7月に開催された国際家族法学会世界大会(アントワープ大学)において、現代の親子関係の法状況(親子関係の成立原理、生殖補助医療、子の出自を知る権利、養子縁組法、フォスターケアなど)について多くの発表があり、そこから養子縁組と生殖補助医療に関する最新の情報を得ることができた。 また、ドイツでは内密出産によって生まれた子の養子縁組を養子縁組あっせん所がどのように取り扱っているのかを、養子縁組あっせん所のスタッフに聴き取り調査した。現在は、ベビークラッペ(赤ちゃんポスト)、内密出産、障がいのある子などの養子縁組が養子縁組あっせん所の重要課題となっている。養子縁組希望者が同性婚であっても養子縁組をすることに問題はなくなっている。 日本では内密出産を実施している唯一の医療機関である慈恵病院(熊本市西区)が21件の内密出産の取扱い事例を公表し、うち2件は特別養子縁組が成立し、8件は手続が進行中であることがわかった。早急な法的対応の整備の必要性がより鮮明になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の研究では、日独の関連文献の調査を主に実施したが、ドイツの専門雑誌の論文資料を十分に入手することができなかった。 また、次年度に計画しているドイツでの専門家ヒアリングに関して、聴き取り・対話・意見交換の相手方の選定を進めていたが、想定していたドイツ人研究者の一部はこの1、2年で退職していたため、新しいヒアリングの対象者を検討する必要が生じた。この点で、若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はドイツでの専門家ヒアリングとその準備作業を中心に研究を遂行する。これまでの研究キャリアのなかでできあがっているドイツ人研究者とのさらなる研究交流を進めるとともに、新しいヒアリングの対象者を早急に選定して、ヒアリングの項目の整理などの準備を進める。そのために、ドイツの家族法・養子法・児童保護専門雑誌を調査して、最新の研究動向を把握して、適切な研究上の対話が可能な専門家との交流を図る。 また、2025年度に計画しているオーストリア、スイスでの養子制度の運用状況に関する調査の準備のために、専門雑誌等から関係資料の収集を進める。
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Causes of Carryover |
設備備品費として支出を予定していたPCの購入を、1年遅らせることにした。また、国内旅費についてはオンラインないしハイブリッド開催の学会大会が増えたことで支出が予定より少なかった。旅費および消耗品その他の残額は、2024年度に計画しているドイツ調査の費用に上乗せして、調査の充実のために使用することを計画している。
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Research Products
(3 results)