2023 Fiscal Year Research-status Report
Constitutional Guarantee of Property Rights in the Commonwealth
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23K01097
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
渕 圭吾 神戸大学, 大学院法学研究科, 教授 (90302645)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 財産権保障 / コモンウェルス / 租税法律主義 / 特別の犠牲 / 著作権 / グローバル化 / 租税 / 比例原則 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、オーストラリアの財産権保障・租税の定義に関する判決を紹介・分析する論文を執筆し、知的財産法の専門家が集まる研究会で報告し、批判を仰いだ。この論文は、2024年3月に公刊された。この論文では、まず、日本の憲法29条に関する判例を分析して、租税を含む金銭債務の賦課が憲法29条の問題となるか、また、いかなる種類の金銭債務の賦課が憲法84条(租税法律主義)の問題とされているか、ということを分析した。次に、オーストラリアの判例については、問題となっているのが私的録音録画補償金という日本を含む諸国に存在する制度であることに注意を払いつつ、オーストラリアの議論の独自性がどこにあるのか明らかにすることに努めた。 この他、一方では、憲法上の比例原則につきICON-Sという国際学会のワークショップで報告を行い、他方では、全国憲法研究会及び別の科研の報告の場で租税法律主義と財産権保障についての議論を深めた。ICON-Sでは、子供の養育費や租税の滞納を理由としてパスポートや運転免許書を取り上げることが許されるのか、という問題を考察した。全国憲・角松科研では、租税法律主義の国際的側面を考察し、また、憲法29条の財産権保障に関して言われる「特別の犠牲」という考え方が田中二郎の独特の構想であって私たちはそのこと(要するに、田中説が憲法29条の解釈としてはかなり極端なものであること)にもっと注目したほうが良いのではないか、と指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コモンウェルスの判例の分析という点ではもう少し進められたかと思うが、比較考察の前提となる日本法の判例・学説の分析は当初の想定以上に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り進めていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度に刊行される書籍の購入等に充てるため。これらの書物の購入に充てる予定。
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