2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K01127
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
石崎 由希子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (50547817)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 健康管理 / 時間管理 / キャリア / 柔軟な働き方 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2023年度は、労働者に対する時間管理・健康管理に係る法制度のあり方や割増賃金規制に係る最高裁判決について検討を行うとともに、様々な事情(疾病、家庭責任、不妊治療等)により就労困難性を抱える者が就労を継続していく上で、いかなる対応が必要か、また、それを支える理論的基盤は何かという点からの検討を行った。その際、時間管理との関係では、柔軟な働き方を可能とする制度の導入が1つの対応策となりうること、就労困難な事情の秘匿を望む者との関係では、特定の事由に該当することを前提に認められる制度よりも、従業員誰もが利用できる勤務制度として、それが導入されていることが望ましいことを明らかにするとともに、かかる制度を普及する上でどのような施策が求められるかについて更に検討を行った。また、これを支える理論的基盤として、キャリア配慮義務が国と事業主の双方に課されるべきことを試論として提示した。 併せて、労働者だけではなく、個人事業者等に係る健康管理のあり方について、「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会報告書」や「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン(案)」の内容及び策定に至るまでの議論状況を参照しつつ検討を行っている状況にある。 さらに、現時点では十分な考察はできていないが、ヘルステック等の新規技術を取り上げている文献の渉猟も開始している。この点に関しては、引き続き、法学分野に限らず、学際的な観点からの文献収集を進めていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は文献収集を予定しており、基本的な文献の収集を進めることができている。また、就労困難性というある種の脆弱性を有する「働く者」に対するキャリア配慮義務を構想し、この点に関して既に論文を公表しているなど、おおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度も引き続き、就労困難性を抱える者に対する配慮がいかなる範囲で、いかなる理論的根拠により認められるべきかという点についての検討及び個人事業者について、かかる配慮はいかなる範囲で及びうるかについての検討は継続する。また、ヘルステックの最新動向等についてもフォローしていきたいと考える。このほか、職場における時間管理と健康管理に際しては、労使の集団的なコミュニケーションが重要な役割を果たしうることが想定されることから、この点に係る検討も開始する。
|
Causes of Carryover |
円安により、特に外国法データベース・文献の高騰が見込まれること等から、次年度使用額を確保することとした。次年度使用額はこれに充てることを予定する。
|