2023 Fiscal Year Research-status Report
上場会社の内部におけるガバナンスの在り方――比較法と実証分析
Project/Area Number |
23K01158
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山中 利晃 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (30779476)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 会社法 / 取締役会 / 社外取締役 / 権限分配 / 補償契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、上場会社の内部におけるガバナンスの在り方について、日本法が抱える課題を比較法と実証分析の両面から幅広く明らかにするとともに、これを検討するものである。例えば取締役の責任と責任からの保護の在り方や、社外取締役の意義等を検討する予定である。 初年度となる2023年度には、日本私法学会の第85回(2022年度)大会における個別報告の概要を同学会の学会誌「私法」84号に公刊した。これは、上場会社の経営と業務執行に対する会社内部の監督において日本法が抱える課題を包括的に明らかにするとともに、これに対する基本的な考察の視点を提供しようとしたものであり、特に取締役会による監督をめぐる法制度や裁判所の判断の中で、会社内部における権限分配、権限分配の下でその役員に課される義務と責任、および、責任からの保護の在り方に焦点を当て、日本法、アメリカ法、イギリス法およびドイツ法を対象とする比較法研究を行ったものである。 当該個別報告およびその概要は、研究代表者の単著である山中利晃『上場会社の経営監督における法的課題とその検討――経営者と監督者の責任を中心に』(商事法務、2018年)を基礎としているが、同書の公刊後に令和元年改正が会社法に補償契約についての規定(430条の2)を新設したこと等のいくつかの動きを踏まえたものである。 以上に加えて、実証分析については、分析に用いるデータセットの整備を進めるとともに、先行研究を踏まえて分析の視点を明確化する方向で研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に対しては、これに上乗せする形の科研費である「『基盤研究(C)』及び『若手研究』における独立基盤形成支援(試行)」の交付が得られたため、当初計画していたもの以外のデータも用いることが可能となり、このことが研究の進展に寄与している。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初の計画通りに研究を進める予定である。特に実証分析について、分析に用いるデータセットの整備と暫定的な分析を早期に完了する計画である。
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Causes of Carryover |
科研費「『基盤研究(C)』及び『若手研究』における独立基盤形成支援(試行)」による上乗せでの交付が得られたため。データセットの整備等に用いる計画である。
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