2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K01180
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山木戸 勇一郎 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (20623052)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 民事執行法 / 強制執行 / 執行当事者適格 / 判決効の主観的範囲 |
Outline of Annual Research Achievements |
執行力の主観的範囲の問題領域においては、債務者側の主観的範囲の問題と債権者側の主観的範囲の問題が存在しており、前者の問題に関しては、既判力の主観的範囲の問題と並行して、債務者側の承継人の解釈論を中心として、比較的古くから議論が展開されてきている。これに対して、後者の問題に関しては、株主代表訴訟の原告株主の執行債権者適格を中心として、平成初期頃から活発に議論が展開されるようになっているが、個別の事案類型に関する個別の解釈問題として議論がなされる傾向にあったため、個別の事案類型相互の理論的な関係性については十分に整序されているとはいえない。そこで、本研究においては、債権者側の執行力の主観的範囲の問題について、民執23条1項各号で問題となる個別の事案類型に関する個別的な解釈論にとどまらない、民執23条1項全体に関する総合的・横断的な理論的枠組みを提示することを試みること、その上で、執行力の債権者側の主観的範囲および執行力の債務者側の主観的範囲の理論的関係を分析するとともに、執行力の主観的範囲と既判力の主観的範囲の理論的関係を分析することによって、判決効の主観的範囲の問題領域全般を総合的に整序することを目標としている。今年度は、上記の目標に向けての手始めとして、執行力の債権者側の主観的範囲の問題に関して、債務名義上の請求権の実現の利益という切り口から、とりわけ民執23条1項1号および3号の該当性について、取立権能の有無による問題状況の差異に着目して検討を行い、その結果を中間的な成果として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中間的な成果をとりまとめて公表することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、国内外の過去の学説等について検討するとともに、今年度の検討を受けて、民執23条1項2号について検討することとする。
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Causes of Carryover |
本年度の残額の発生は、当初の予定を変更して、中間的な成果を公表することとしたため、当初の使用計画を変更したことによるものである。次年度は、書籍等の研究設備の充実のために使用するほか、今年度に予定していた研究会出席・報告、研究打合せ、資料収集などの旅費として使用する予定である。
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