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2023 Fiscal Year Research-status Report

担保目的財産に相当する金銭を占有する担保権者の法的地位についての研究

Research Project

Project/Area Number 23K01194
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

瀬戸口 祐基  神戸大学, 法学研究科, 准教授 (20707468)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2028-03-31
Keywords金銭 / 担保 / フランス法
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、担保権者が担保目的財産に相当する金銭を占有する場合に、担保権者は当該金銭を完全な所有者として自由に扱うことができるかを明らかにすることを目的とするものであるところ、2023年度には、この問題に関するフランス法の状況を調査した。具体的には、フランスにおける2021年の担保法改正の結果としてこの問題についてどのような規律がされることとなったかを確認するとともに、その規律内容をめぐる最新の議論状況をフォローした。
これにより、まず、フランスでは2021年の担保法改正により金銭そのものを担保目的財産とする担保として金銭譲渡担保が制度化されるに至ったが、この制度の下では担保権者が担保目的財産である金銭を占有するとき、担保権者はこの金銭を原則として自由に扱えることが明らかとなった。また、同じく2021年の担保法改正により制度化されるに至った債権譲渡担保においては、担保権者が本来の担保目的財産である債権の取立てにより金銭を占有することが想定されているところ、このようにして担保権者が占有することとなった金銭については金銭譲渡担保についての規律が妥当し、担保権者はこの金銭を原則として自由に扱えることも判明した。しかし、他方で、債権譲渡担保と類似する制度である債権質においては、同じく担保権者が本来の担保目的財産である債権の取立てにより金銭を占有することが想定されているものの、こちらについては、担保権者はこの金銭を専用の口座で保管しなければならず自由に扱えないことも判明した。
こうしたことから、2021年の担保法改正後のフランス法の下では、担保権者が担保目的財産に相当する金銭を占有する場合の規律が、問題となる担保の性質に応じて体系的に整理されているといえる。このことは、日本法の下でのあるべき規律を考えるうえで参考になるものと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定では、2023年度には、フランスにおける2021年の担保法改正に先立って公表されたフランス語の研究論文の内容を精査するとともに、その内容を手掛かりとして、フランス法についての関連する基本情報を取得することにしていた。しかし、2021年の担保法改正直後からフランスにおいて関連する重要論文が複数公表されており、かつ、それらの論文においては2021年の改正前後のフランス法の状況についての基本情報も示されていることが判明した。そこで、予定を変更し、2023年度には、当初は2025年度に実施することを予定していた、2021年の担保法改正後における最新の議論状況のフォローを行った。この結果、当初予定していた基本情報の取得を達成するとともに、当初は2025年度に予定していた作業の多くを達成することもできたため、作業量としては、おおむね当初予定していた程度の進捗があったものと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

2024年度には、フランスにおける2021年の担保法改正に先立って公表されたフランス語の研究論文の内容を精査しつつ、2021年の担保法改正に至るまでの議論の経過を調査する。続く2025年度には、改めて、2021年の担保法改正後における最新の議論状況をフォローしたうえで、フランス法についての検討結果をまとめることを予定している。
そして、2026年度から2027年度にかけては、このようなフランス法についての検討結果をふまえたときに、日本法の下で、金銭が担保目的財産に相当することとなる各種の例について、担保権者が担保目的財産に相当する金銭を占有する場合に、担保権者は当該金銭を完全な所有者として自由に扱うことができるかを明らかにする予定である。

Causes of Carryover

当初の予定では、物品費や旅費としてより多くの支出をすることとなっていたが、別件で来日したフランスの研究者と面会し多くの有益な情報の提供を受けたことで、当初予定していたよりも支出を抑えつつ、必要な調査を進めることができた。この結果、次年度使用額が生じた。
こうして生じた次年度使用額については、翌年度分として請求した助成金と合わせて、さらなる情報収集のための物品費や旅費として使用することを予定している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2024

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] フランス法上の牽連する債務間の相殺における担保的機能――金銭債権または金銭を目的とする約定担保との比較2024

    • Author(s)
      瀬戸口祐基
    • Journal Title

      NBL

      Volume: 1267 Pages: -

URL: 

Published: 2024-12-25  

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