2024 Fiscal Year Research-status Report
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23K01220
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| Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
渡邉 泰彦 京都産業大学, 法学部, 教授 (80330752)
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| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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| Keywords | 性別不合 / 親子関係 / 生殖補助医療 / 性同一性障害 / ドイツ / 性別変更 |
| Outline of Annual Research Achievements |
2024年度は、法律上の性別と親子関係について、性別の観点から性同一性障害特例法3条1項4号の生殖不能要件を違憲と判断した最大決令和5・10・25民集77巻7号1792頁について検討した。この決定により、生殖能力を失うことなく戸籍上の性別の取扱いを変更する事案が生じ、男性の父または女性の母という概念を再考する必要がある。同決定について、「性同一性障害者特例法における生殖不能要件の合憲性」私法判例リマークス69号 10頁以下で検討した。 さらに、法律上の性別に関して、世界的には性自認に基づいて性別の変更を認める国が増えつつある。その一例としてドイツの性別登録に関する自己決定に関する法律(以下、「ドイツ自己決定法」とする)に関する研究を進めた。 ドイツでは、性別不合を理由とする場合と性分化疾患を理由とする場合の性別変更の手続を、性自認を理由とする性別変更に統合した。そのため、ドイツ自己決定法は、統一し、自己決定法が双方の場合を含んでいる。そして、性自認を唯一の理由とする性別の変更という制度設計においては、性自認に基づく決定が熟慮のもとになされたのかが重要となる。 「性自認に応じた法律上の性別の可能性」ジェンダー法研究11号151頁以下においては、ドイツ自己決定法の概要を参考に、日本において現代会で解決すべき問題として「相談窓口の拡充」と「性別変更の効果」について述べた。また、今後のために考慮すべき問題として、日本の性同一性障害特例法3条1項1号の年齢要件を削除すると仮定した場合における未成年者(制限行為能力者)の自己決定とそれに対する親権者の関与の問題、診断書の提出を必要としない自己決定による性別変更の手続についても述べた。熟慮による自己決定への支援という観点については、日本GI学会のシンポジウム「性別不合に関する法律的な諸課題」において報告した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドイツにおいて2024年に性別登録に関する自己決定に関する法律が成立、施行されたことから、立法資料をもとに規定の趣旨について研究を進めた。また、日本において、同性婚訴訟で5つの控訴審判決すべてが違憲判断を下し、各裁判例を比較検討している。とりわけ、控訴審判決においては同性カップルによる婚姻、子との家族を認める方向も示されており、両親における性別の組合せと親子関係という本研究と関連する部分があり、研究に注力した。他方で、大学の移籍という研究開始時には想定してなかった事情に伴い、研究資料を移動する作業を行い、新たな研究環境に慣れる必要があった。これらに時間を要し、十分な研究時間を確保することができず、研究の進捗が遅れ、海外での資料収集も行うことができなかった。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後の研究において、まず、ドイツの性別登録に関する自己決定に関する法律の詳細について立法理由から研究する。すでに一部の成果については公表しているが、全体について考察を進めていく。第3の性別については、性自認に基づく性別という観点からドイツ自己決定法における扱いを研究するともに、これまで十分に検討されてこなかった第3の性別の意義について検討する。 性別変更と親子関係については、精子を凍結保存した後に男性から女性に性別を変更した者の精子を用いて、この者の女性パートナーが子を出産したという事案において、血縁関係に基づく親子関係においては生物学的性別をもとに父か母かを判断するというこれまで主張してきたのと同様の結論を、最判令和6・6・21民集78巻3号315頁が採った。この点については、本研究課題が比較法研究の対象とするドイツと同様であるが、ドイツにおいては実施法の改正作業が進んでいることから、その動向を参考にしつつ、さらなる研究を進めていく。
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| Causes of Carryover |
大学を移籍するため、研究拠点と生活拠点を移す準備の時間が必要となり、海外での資料収集を行うことができなかった。また、新たな研究拠点において新たに必要となる機材を購入する必要も見込まれ、その費用を2025年度に支出できるよう、2024年度は研究費の使用を最小限度に抑えていた。 2025年度は、計画通り海外での資料収集を行い、その際には研究費の予定額を算出した時点での予想を超える円安ユーロ高となる現状において、為替から生じる旅費の増額分に未使用分の研究費を充てる。 さらに、新たな研究環境において研究遂行に必要な機材、資料を買い足すために研究費を追加して支出する。
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