2023 Fiscal Year Research-status Report
Republican Ideals and the Ancient Constitution in Seventeenth-Century England
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23K01234
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大澤 麦 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (30306378)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 共和主義 / コモン・ロー / イギリス革命 / 古来の国制 / 立憲主義 / ピューリタン / 共和制 / レヴェラーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、古典古代の都市国家に起源をもつ共和主義思想史の近代における一大転換点を17世紀イングランドの国制論争に見出し、そこで提示された共和国の理念の変容過程の分析を同時代の「古来の国制」(Ancient Constitution)概念を思想的コンテキストに据えて遂行し、これによってイングランド共和主義の特質と成立条件を明らかにすることにある。 この目的のために本年度は、研究初年度として、本研究全体の基盤となる上記の「古来の国制」を構成する諸理念についての基礎文献・基礎資料の精読に研究の大きな比重を割いた。具体的には以下の2つの項目とその文献の検討を行った。 (1)オックスフォード大学ボードリアン・ライブラリーにおいて、「ノルマン・コンクェスト」および「ゴシック政体」に関わる20世紀中葉から今日に至るまでに公表された主要な研究文献を渉猟した。 (2)ピューリタン革命の前半期に議会派の立場から「古来の国制」を論じた代表的な政論家および聖職者、具体的にはフィリップ・ハントン、ウィリアム・プリン、チャールズ・ハール、ジェリマイア・バローズ、ヘンリ・パーカー等の主要著作を緻密に検討した。それと同時に、Early English books, 1641-1700 および Early English Newspapers, 1622-1820 に収録されている諸資料のうち、上記の著作の解明に必要な資料を検討した。 また、上記の検討と併せて、日本西洋史学会、政治思想学会、日本ピューリタニズム学会、社会思想史学会の研究大会に出席して、関連諸分野の研究者との意見交換を行うことで、知見を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は上記「研究実績の概要」にも記したとおり、研究初年度として、本研究全体に関わる基礎文献・基礎資料の精読に力を入れる予定であった。この点については、ほぼ予定どおりに研究は進んだと考えている。 以上述べたことから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に遂行した研究を下地にして、以下の3つの項目について重点的に研究を行うことで、2年後に本研究全体を完結させることを目指す。 (1)ピューリタン革命の前半期に議会派の立場から「古来の国制」を論じた代表的な政論家および聖職者たちの立論が、どのように変容されて急進派レヴェラーズの共和主義の形成に寄与したかを明らかにする。その際、「古来の国制」の理念が果たした役割についての考察を中心に据えることにしたい。この成果は、学術論文ないしは学会発表によって公表する計画である。 (2)上記(1)で出された結論を基底に据えて、1650年代のピューリタン革命後半期の共和派の共和国観の特質を解明したい。ここにおいては、「古来の国制」の理念が共和国体制の定着という視点から、どのように関りを持ったかを考察の中心におきたい。このことによって、その革命全体にわたる共和主義の潮流が、「古来の国制」という統一された視点から明らかになるものと考えている。この成果についても、学術論文ないしは学会発表、できれば研究書の刊行によって公表したいと考えている。 (3)本研究で得られた知見を活用して、1650年代の共和主義者マーチャモント・ニーダムの主著『「自由な国家」の卓越性』の翻訳を、詳細な解説を付したうえで刊行したい。 研究全体を通じて、関連する諸学会の研究者との意見交換を怠らないように努めたい。
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Causes of Carryover |
今年度の直接経費はおおむね当初の計画どおりに使用することができたと考えている。次年度使用額が66円生じることになったが、研究遂行上の有益な用途を見出すには少額過ぎることに鑑みて、これを翌年度分と合わせて使用することが効率的かつ合理的であると判断した。
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