2023 Fiscal Year Research-status Report
戦間期イギリス外交当局は戦争の違法化を如何に考えていたのかー国際関係史による検討
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23K01272
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 春美 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00282492)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 不戦条約 / イギリス外交 / 非公式帝国 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年4月から8月にかけては、国際法分野の先行研究を熟読するとともに、British Documents on Foreign Affairs, Documents on British Foreign Policy など刊行されたイギリス外交史料集の該当部分に目を通し、情報を整理することに努めた。1927年から1928年にかけて、フランスによる仏米2国間条約の提案から不戦条約調印までのイギリスの議論についてはかなり理解できた。 9月11日から22日にかけてはイギリスに赴き、イギリス公文書館、ロンドン大学図書館、大英図書館、オクスフォード大学ウェストン図書館などで一次史料の収集を行った。短期間の滞在ではあったが、8月までにかなり準備をして臨むことができたので充実した史料収集であった。帰国後年度末までは、イギリスで収集した史料を整理し、関連研究を読んで理解を深めることに努めた。 不戦条約そのものに関しては、イギリスの保守党内閣、野党労働党の間で意見に相違のあったこと、非公式帝国が問題であったことなどが理解できた。今後はとくに後者に焦点を当てて考えるつもりであるが、前後のかなり長い期間を視野に入れて検討したほうが良いことにも気づいた。 また、不戦条約が締結されたのと同じ時期のイギリスでは、常設国際司法裁判所(PCIJ)の応訴義務を受諾するか否かも検討されていた。この問題に関し、Lorna Lloyd, Peace through Law を読んだところ交戦権(belligerent rights)という単語が頻出していた。これについても第一次世界大戦中の封鎖、中立国の貿易に関し英米間には意見の対立のあったことが理解できた。 関連する研究を含めると豊富な蓄積がある一方、様々な問題が必ずしも結びつけて理解されていないので、包括的な理解を目指したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のテーマには、『岩波講座世界歴史』20巻に、20世紀前半に関する「展望」を書かせていただいたことから興味を持った。後藤にとっては新しいテーマだったのだが、先行研究の蓄積が厚く、読み応えのあるものばかりであったので、非常に助けになった。また、2023年度Sセメスターはサバティカルをいただくことができ、イギリスに赴くまでに十分な準備ができた。さらに、国際法分野ではなく、イギリス外交という視点からの接近はそれほど多くないので、非公式帝国に注目することで成果を出していくことが可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
不戦条約の締結後、エチオピア戦争、第二次世界大戦期について検討していきたい。一次史料収集はもちろん重要であるが、むしろ広い範囲の先行研究に目を通すことで、通史的な理解をしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2023年9月にイギリスに滞在した際に、宿代があまりに高騰していたため、宿泊費と日当では賄いきれなかった。一方で、差額を自分で支払って長期間滞在するのは負担が大きくなりすぎると判断したため、中途半端な額が残った。残額は2024年度請求分と合わせて海外出張およびバイアウト経費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)