2023 Fiscal Year Research-status Report
Climate Finance: Diverse Expectations and Market Stability
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23K01304
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中田 啓之 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20645866)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 主観確率 / 気候変動 / 外部性 / 気候ファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画に則り、基本モデルの構築に努めた。気候変動の外部性の金融市場・ファイナンスの機能を通じた内部化による影響、特に金融市場、ならびに経済全体の安定性への影響を分析することが主目的であり、確率分布のテール部分が重要な研究であるため、正規分布を仮定することによる単純化ができない等、まず、技術的に困難な点を整理した。動学的確率的一般均衡モデルに多様な主観確率を導入することで、モデルが急速に複雑なものになってしまうが、離散的なモデルの場合、複数の系列の存在するマルコフ過程のシミュレーションについて、近年、研究が進展しているものの、簡単ではない。そこで、既存のrational beliefを内包したシミュレーション・モデルの基本的な設計思想を参考にし、一方では気候変動の要素、技術的制約や政策・規制の導入という側面についてはモデルを拡張し、他方ではモデルが内包する資産について単純化することで、計算結果の解釈が困難な複雑なモデルになることを回避する方法を見出した。現状、特に主観確率の記述が非常に複雑なものになることを回避できる目処が立った。 今後は、基本モデルを完成させ、まずは空売り規制等、純粋な金融市場における規制のない場合について分析する。その際、ペナルティーを伴う排出量規制、複数の異なる排出権取引システムについて分析する。技術的制約の一部である生産関数の記述についても、複数のバージョンについて検討し、モデルの妥当性を担保するように努める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、当初の計画のとおり、初年度は基本モデルの構築への洗い出しと解決ができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、基本モデルを完成させ、最初に金融市場規制のない場合について分析し、その後、金融市場規制のある場合について分析する。
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