2023 Fiscal Year Research-status Report
官僚のキャリアパスと人的ネットワークから見る政策形成の経済学史・計量経済学的分析
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23K01327
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
笠井 高人 同志社大学, 経済学部, 准教授 (90755422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫田 さやか 同志社大学, 経済学部, 准教授 (30780754)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 社会保障・所得分配政策 / 医療保険制度 / 官庁エコノミスト / 経済思想史 |
Outline of Annual Research Achievements |
1970年代以降に実施された所得再分配政策や社会保障政策と、政策策定に関わった官僚の学習内容やキャリアパスとの関連について分析を行い、これまで明示化されてこなかった政策の時代性と官庁エコノミストの重要性を明らかにし、今後の所得再分配政策や社会保障政策の策定プロセスについて歴史相対的な示唆を得るという研究テーマを念頭に、本年度は研究の基盤を固めるべく、基礎資料の収集を最優先し、当該テーマの大方の資料を網羅的に入手することに注力した。1980年代まで活躍した厚生労働省の官僚を対象に、当該人物の著作および関連資料の探索および取集をおこなった。比較的最近の時代であるものの、これまであまり着目されてこなかった人物であり、かつ電子化されていない時期のため、調査には相当な時間を費やした。100を超える文献の存在を明らかにし、その一覧を作成したが、それだけでも高い資料的価値があると思われる。 官僚のキャリアパスや人的ネットワークが所得再分配・社会保障といった福祉にどのようにこれまで貢献したのかを評価することについては、人的ネットワークの解明を先行して行った。とりわけ、今年度に着目した医療保険制の基礎を作った人物だけでなく、同時代に年金保険制度を作った官僚との関係は着目に値する。 一部ではあるが、資料の意味解釈および時代との関連性を考察した。その一端は、日本経済思想史学会の関東部会で報告している。詳細については『日本経済思想史研究』に掲載の部会報告を参照のこと。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調書想定していたよりも多量の資料が存在することが判明し、資料収集には時間を要したが、ほぼ網羅的に収集できたため、おおむね順調に研究は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に入手した資料の読解をし、政策形成のバックグラウンドを解明を行う。申請時の推進方策から大きく異ならない。
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Causes of Carryover |
当初より資料収集に時間を要したため次年度使用額が生じた。その分は、次年度に当初予定していた活動を行って使用する計画である。
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