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2023 Fiscal Year Research-status Report

初期近代イングランドにおける啓蒙思想の特質―宗教の合理化プロセスを中心に―

Research Project

Project/Area Number 23K01329
Research InstitutionFukuoka University

Principal Investigator

武井 敬亮  福岡大学, 経済学部, 准教授 (90751090)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2028-03-31
Keywordsジョン・ロック / 『人間知性論』 / 理性 / 信仰 / 聖書解釈 / ジョン・トーランド / 『秘義なきキリスト教』 / 合理性
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、ジョン・ロック及び(ロックから影響を受けた)理神論者たちが、17世紀後半から18世紀にかけて宗教が合理化していくなかで、いかなる役割を果たしたのか明らかにすることにある。そのために、本研究では、ロックの「理性」認識を基本形として、それがロック自身の聖書解釈にどのように用いられているのかを明らかにするとともに、理神論者と目される各思想家に、ロックの「理性」認識及び聖書解釈が、どのように受容されていったのかを分析していく。
そこで、本年度は、まず、ロックの『人間知性論』(1689年)第4巻第17章、18章を中心に、ロックの「理性」認識の把握を行った。ロックは、理性を「手段を見いだし、それを正しく適用して、一方では絶対確実性を、他方では蓋然性を発見する機能」と定義する。その上で、理性が及ぶ範囲と及ばない範囲を区分し、後者については「信仰問題」として扱う(ただし、命題が神からの啓示であるか否かの判定自体は理性が行う)。以上のような「理性」認識は、先行研究でも指摘されているように、ロックの聖書解釈にも反映されている。次に、こうしたロックの「理性」認識が、同時代の人々にどのように受容されていたのかを明らかにするために、ジョン・トーランドの『秘義なきキリスト教』(1696年)を取り上げて分析を行った。トーランドもまたロックと同様に理性の行使を強調するが、トーランドの場合、理性によって命題が神からの啓示であるか否かを判断するだけでなく、啓示された事柄が理性と一致するかどうかも検証されなければならないと考える点で、ロック以上に合理的な立場をとっていることを具体的に示した。
以上の研究成果については、現在、論文化に向けて準備を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、二次文献を中心に、17世紀後半から18世紀にかけての思想的・歴史的文脈を把握すること、また、ロックの「理性」認識及びそれに基づく聖書解釈の特徴を明らかにするために、『人間知性論』に加えて、ロックの宗教的著作の分析を行うことを予定していた。前者については、予定通りに作業が進んでいる。後者については、『人間知性論』の分析(特に理性に関するロックの議論の分析)を行うことができたが、それ以外のロックの著作に関して、ロックの「理性」認識がどのように反映されているのかを検証することができなかった。ただし、次々年度に予定していたトーランドの著作の分析を前倒しで行ったため、本研究全体の進捗状況としては、おおむね順調に進んでいると考える。

Strategy for Future Research Activity

まずは、ロックの「理性」認識が、ロックの宗教的著作(特にその聖書解釈)にどのように反映されているのかを検証する作業を優先的に行いたい。その上で、当初、次々年度に予定していたトーランドの著作の分析を前倒しで行ったことから、引き続き、受容の在り方を明らかにしていくために、アンソニー・コリンズの著作の分析も先に進めていきたい。

Causes of Carryover

購入予定の図書が刊行延期につき購入できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度には刊行される予定のため、刊行され次第、購入手続きを進める。

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Published: 2024-12-25  

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