2023 Fiscal Year Research-status Report
機械学習における縮小推定法の応用可能性に関する研究
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23K01336
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
難波 明生 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (60324901)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 機械学習 / 縮小推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究の主たるテーマの一つである機械学習について、様々な文献の収集及びサーベイを行った。特に、研究で用いる予定のLassoと呼ばれる方法については、コンピュータプログラムでの実装も含め、重点的にサーベイを行った。その結果、当初は販売されているライブラリの利用を検討していたが、基礎的なプログラムについては自身で作成が可能であろうと判断し、ライブラリの導入は一旦保留し、プログラムの作成に着手した。また、上記のサーベイおよびプログラム作成と並行して、本研究課題のもう一つの主たるテーマである縮小推定に関して、構造変化を含む可能性がある回帰モデルにおける縮小推定の応用についての研究を行った。研究の結果として、構造変化が実際には存在しない場合でも、構造変化が無いという想定の元で縮小推定を行うよりも、構造変化が存在する可能性を考慮したモデルを仮定して縮小推定を行う方が、推定されたモデルのデータへの当てはまりが良い可能性が高いことが示された。データへの当てはまりが良いということは、そのモデルを用いた予測の精度が高い可能性を示している。この研究自体は本研究課題の採択以前から行なっていたものであるが、この研究により得られた結果は、予測精度の高さを重視するという点で、機械学習に通ずる点があると考えられる。また、この研究においては、構造変化時点を既知としているが、構造変化時点が未知の場合は、構造変化時点を誤って特定化してしまう可能性がある。しかしながら、縮小推定は特定化が誤っている場合でもデータへの当てはまりが良い場合が多いことが知られているため、この結果は構造変化が未知の場合にも拡張できることが期待される。この結果については、国際的学術専門誌である Journal of Applied Statistics への掲載が確定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究で用いる可能性のある機械学習に関する多くの関連文献を収集・サーベイを行った。特に、研究で用いる予定としているLassoと呼ばれる方法については、コンピュータにおける実装を含めて文献収集・サーベイを行い、販売されているライブラリを導入しなくても、Fortran言語を用いて自身で実装可能と判断し、コンピュータ・プログラムの作成に着手した。また、以前より行なっていた、構造変化を含む可能性がある回帰モデルへの縮小推定に関する研究について、理論的分析の追加・修正、実際のデータへの応用などを行い、その有用性を示すことにより、海外の学術専門誌への掲載に至った。この研究の結果は、データへの当てはまりという点で、機械学習と縮小推定に深い関係がある事を再認識させるものである。上記の事から判断し、研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では、機械学習の手法について詳しくサーベイするとともに、これまで研究してきた縮小推定の研究を発展させ、機械学習と縮小推定の類似点についてもいくつかの点を明らかにした。今後の研究では、これまでの研究結果を発展させ、機械学習と縮小推定を組み合わせて利用した場合にどのような結果が得られるか、および、機械学習と縮小推定にはどのような類似点・共通点があるのかなどについて詳しく分析していく予定である。今後の研究についても、必要に応University of California-Riverside の Prof. Aman Ullahおよびamen University のDr. Haifeng Xuとコンタクトを取りながら進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究課題においては、機械学習をコンピューター上で実行するために、有償のライブラリを導入することを検討していたが、関連する手法についてサーベイを行った結果、自身でプログラムを作成可能であろうと考え、ライブラリの導入は一旦保留したために初年度予算について残額が生じた。なお、残額については、今後の研究を効率的に行うため、次年度の予算と合算して執行する予定である。
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