2023 Fiscal Year Research-status Report
税の種類や投資行動の違いが、市場でのタイプ選択に与える影響
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23K01360
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大川 隆夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (10258494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林原 正之 追手門学院大学, 経済学部, 名誉教授 (00104901)
野村 良一 立命館大学, 経済学部, 教授 (60465599)
井澤 裕司 立命館大学, 食マネジメント学部, 教授 (70222924)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 従量税 / 従価税 / クールノー競争 / 長期均衡 / タイプ選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
後述するHamada,Ohkawa,and Okamura (2023, SJPE)と Hamada,Ohkawa,and Okamura (2024, BOER)の2本が、本研究課題に関連する公刊論文となる。前者は、non-commitmentな費用削減投資をクールノー寡占企業が行う場合、長期均衡において、従量税あるいは従価税が課されると、費用削減投資が効率的であれば、課税により却って価格が低下するという「エッジワースパラドックス」が生じることを示したものである。後者は、クールノー長期寡占均衡において、従量税も従価税も課されていて、しかも、どちらかの税が最適税率となっている状況下において、最適化されていないもう一方の税率を引き上げると、最適税率が下がり、価格も低下する場合があることを示している。どちらの論文も従量方式、従価方式を考慮した分析であり、今研究課題の準備的な内容となっている。 技術条件の異なる非対称なクールノー寡占長期均衡において、課税あるいは補助金給付でどのタイプが生き残るかということについては、昨年度中にモデルの構築と計算結果は導出出来ている。あと、上記で検討した数量競争ではなく価格競争での長期均衡時において、両方式での課税の効果の差異を検討するための予備的な考察も昨年度は行った。関税に関しても両方式での最適関税率における均衡帰結についても、クールノー寡占における短期均衡、長期均衡についてのモデル分析を行い、計算結果はほぼ導出出来ている。これらの3つの内容については、24年度に論文にして、投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メインの計算結果が導出出来ているが、社会的に最適なタイプは何かという問題などクリアしなければならない部分の分析に手間取っている。加えて、長期的にいかなる生産性のタイプが市場で生き残っているのかを実証分析した過去の研究が見つかっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度においては、できるだけ連携研究者を論文執筆者(筆頭著者)として、共同研究者間の分業体制を図り、上述のような計算結果が明らかになっているものについて初稿を完成させていく所存である。 具体的には、メインの研究となる技術条件の異なる非対称なクールノー寡占長期均衡においては、新潟大学の濱田先生に筆頭著者となっていただき、論文を作成する。価格競争における長期均衡の予備的考察に関しては、大分大学の川崎先生に筆頭著者になっていただく。方式別の最適関税に関する論文については、研究代表者が本文を、研究分担者である林原先生に証明の数学注の部分の執筆を担当という形で、分担執筆で対応する。
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Causes of Carryover |
研究分担者が病気で一定期間研究に参画できなかったことから、共同研究打ち合わせを頻繁におこなえず、皆の同意を得られたうえで研究を進めるという状況が遅滞したことに起因している。2024年度は、学会参加のための費用と論文校正の費用に充当する 。
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