2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K01384
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
宮崎 憲治 法政大学, 経済学部, 教授 (10308009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平賀 一希 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (40528923)
郡司 大志 大東文化大学, 経済学部, 教授 (50438785)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 税務データ / ヘテロ経済モデル / 財政政策 / 日本経済 / 一般均衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、所得税の確定申告書の第一表及び第三表の個票データを用いることで、課税所得税率弾力性(ETI)、総所得税率弾力性(EGI)、ラッファー曲線、平均限界税率、租税弾性値を導出し、さらに政策分析に応用するものである。 まず、ETIとEGIの算出である。ETIは税率変化に対する課税所得の変化の度合いを、EGIは税率変化に対する総所得の変化の度合いを表すものである。次に、ETIとEGIを用いてのラッファー曲線の導出である。ラッファー曲線は、税率と税収の関係を示すグラフであり、税率がある一定の水準を超えると税収が減少に転じることを表すものである。さらに、平均限界税率と租税弾性値の計算である。平均限界税率は、所得が1単位増加した時の税負担の増加分を表し、租税弾性値は、所得の変化率に対する税収の変化率を示すものである。最後に、これらの分析結果の政策立案への活用方法の検討である。例えば、税制改正による税収への影響をシミュレーションしたり、最適な税率を探ったりすることが可能である。 以上のように、確定申告書のミクロデータを用いた分析は、税制のあり方を考える上で重要な示唆を与えてくれるものである。今後も、このような実証研究を蓄積し、より良い税制の設計につなげていくことが期待されるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1本の論文を書き上げ、財政学会にて報告した。論文では、所得ないしは労働生産性の異なる個人が存在する不完備市場モデルに、国税庁確定申告データを用いて、日本経済の集計および所得分位別の消費、資本分布および労働供給に関するカリブレーション分析を行った。モデルのパラメータを得るカリブレーションにおいて、確定申告の労働所得税のデータを用い、非金融所得の遷移過程および所得税率関数の推定を行い、マクロモデルの分析を行った。具体的には、定常状態における所得分位別の消費や資産分布の動向について、労働供給を外生にしたベンチマークモデルと内生化したモデルのシミュレーション結果を比較した。 今後はこれをもとに英文論文を書き上げて、査読雑誌に投稿を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、最新の経済動向を注視しながら、英文論文の作成に取り組む。まず、国内外の学会で研究成果を発表し、フィードバックを得て論文を改善する。その後、査読付き学術雑誌への投稿を目指す。 論文作成においては、数値計算と実証分析が不可欠である。そのため、数値計算環境の整備とデータの整理を継続的に行う。これにより、信頼性の高い結果を得ることができる。 研究成果は、学会発表だけでなく、研究会を通じてより深く議論する機会を設ける。研究連携者を中心に、10人程度の研究者をZoom会議に招き、活発な意見交換を行う。これにより、研究の質を高め、新たな知見を得ることが期待できる。 以上の取り組みを通じて、経済分野における重要な研究成果を生み出すことを目指す。国内外の研究者とのコラボレーションを深め、学術的にインパクトのある論文の発表を目指していく。
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Causes of Carryover |
当初報告予定した国際学会が、開催されなかったため海外出張費が施行できなかった。本年度は予定通り海外での報告を実施したい。
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Research Products
(1 results)