2023 Fiscal Year Research-status Report
NPO法人の動態的ガバナンスシステムを捉える分析枠組の構築に向けた調査・研究
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23K01575
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
東郷 寛 近畿大学, 経営学部, 准教授 (10469249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 忠彦 近畿大学, 経営学部, 教授 (20210700)
團 泰雄 近畿大学, 経営学部, 教授 (60298502)
井上 祐輔 札幌大学, 地域共創学群, 准教授 (90737975)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非営利ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,主に市民社会組織と呼ばれる小規模非営利組織の動態的なガバナンス(理事会運営)の過程を明らかにするという課題に取り組んだ。具体的には,ミッション志向の組織活動を担う組織のリーダーの「志向性」に着目した分析枠組の構築とそれによる事例分析を通して,ガバナンスが変化する過程を明らかにした。詳細は以下の通りである。 第一に,ガバナンスが変化する過程を明らかにする前に,非営利組織のガバナンスに関する先行研究を精査した。具体的には,非営利ガバナンス・モデルの研究と非営利ガバナンスのコンティンジェンシー・アプローチに関する研究を検討した。その結果,先行研究において,非営利組織のガバナンスを発展・強化する際の理事長の認知的側面が見落とされている点が明らかとなった。より詳細に言うと,同じ環境下に置かれていても,それぞれの理事長が異なるガバナンスの論理を持っているため,環境に対して異なる意味を付与するとともに,それが多様なガバナンスの実践に反映されるいう視点の欠落が明らかとなった。第二に,非営利リーダーのガバナンス論理を規定する志向性に焦点を合わせた分析枠組(フレームワーク)を構築するとともに,ガバナンスの論理が変化する過程を明らかにした。第三に,設立から15年以上にわたって幾度となくガバナンスの変化を経験してきた市民社会組織を分析対象として取り上げ,分析フレームワークを用いてガバナンスが変化する過程を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由として,新型コロナウイルスの感染症の感染症法上の位置付けが「5類」に移行されたことに伴い,対面でのインタビュー調査を含めたフィールド調査が行いやすくなった点があげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,複数の組織を取り上げた比較研究を進めるとともに,比較分析を通じてガバナンスが変化する条件を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
次年度以降の調査費(インタビュー謝金や交通費)と英文校正費に充当する予定である。
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