2023 Fiscal Year Research-status Report
台湾の流通進化論:戦後からの小売業態の生成と発展の歴史考察を通じて
Project/Area Number |
23K01626
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鍾 淑玲 東京工業大学, 工学院, 准教授 (30381338)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 台湾の流通近代化 / 台湾の食品スーパー / 台湾のコンビニ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度においては、食品スーパーとコンビニを対象に研究を行いました。 (1)まず、食品スーパーに関しては、食品スーパー第2位の美廉社の流通・マーケティング史を考察しました。美廉社は台湾の有力小売りグループの一つである三商行グループの傘下企業です。三商行グループは1970年代後半に専門店チェーンである三商百貨を設立し、最盛期には80店舗を展開しました。しかし、時代の変化と小売競争の激化により業績が悪化し、2006年には事業転換として小型食品スーパーである美廉社が導入されました。このように、美廉社が誕生した背景から食品スーパーの第2位まで成長したプロセスを考察しました。次に、1960年代から1986年までの台湾のスーパーの発展史を考察しました。台湾では1960年代後半にスーパーの第1号とされる店舗が登場し、2000年までには外資系の頂好スーパーが台湾のスーパー業態をリードしてきました。しかし、台湾におけるスーパー業態全体では、百貨店や総合量販店、コンビニなどの台湾の主要小売業態よりも成長が遅かったです。2002年以降、ようやく状況が一変し、スーパー業態は継続してプラス成長しました。特に2015年から2020年までの5年間の平均成長率は、他の業態と比較して2%~4%高かったです。また、コロナ禍による「在宅経済」の影響で、2020年のスーパー業態全体の売上高は、前年比10.7%増加し、2,299億元に達し、初めて総合量販店業態を超えました。 (2)コンビニに関しては、COVID-19前後を焦点に、業態2位のファミリーマートのデジタル化の進展と企業戦略を考察しました。COVID-19後、ファミリーマートのデジタル化がさらに加速し、経営の効率化にも貢献したことが明らかになりました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記したとおり、台湾の食品スーパーとコンビニの研究を進んできました、食品スーパーの文献調査には時間がかかり、論文として発表するには至りませんでした。2024年には学術雑誌などにて研究成果を公表する予定です。
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Strategy for Future Research Activity |
データベースの利用による文献調査、現地における資料調査と企業インタビューという手法で百貨店・スーパー、総合量販店、コンビニ、EC小売、の5つの主要小売業態の生成・発展の歴史、および主要小売り業態の上位2社の流通・マーケティング史を明らかにしていきます。
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Causes of Carryover |
研究活動にかかる諸費用は、学内の研究費を優先的に使用したため、次年度使用額が生じました。来年度に開催する日本流通学会 2024 年度海外視察調査(行き先台湾)の参加費とするほか、現地企業へのインタビュー調査、研究用のソフトウェアや調査報告書の購入、データベースの利用料等で使用する予定である。
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