2023 Fiscal Year Research-status Report
コンタクトセンターにおける価値の共同破壊プロセスに関する理論構築
Project/Area Number |
23K01646
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊藤 龍史 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60445872)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 価値の共同破壊(価値共壊) / コンタクトセンター / サービス / カスタマーアントレプレナーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度では主に、2種類の対照的なサービスを研究対象として、価値共同破壊の事例およびモデル構築に取り組んだ。具体的には、1つが国内におけるコンタクトセンターでの遠隔サービスに関する事例調査であり、もう1つはカフェでのサービスに関する事例研究である。 前者に関しては、コンタクトセンター業務を展開しているKDDIエボルバ(現:アルティウスリンク)におけるオペレーター等への聞き取り調査(プレ調査)を行った。また、後者に関しては米国の大学研究者を協力者として研究を行い、国際学会ASBBSで「Value Co-destruction and its impact on third-party customer : An Exploratory Study」発表した。現在、前者のプレ調査で得られた情報を踏まえて、計画時からやや変更した新たな研究方法(以下の項目「現在までの進捗状況」で説明)で使用するシナリオを作成中である。後者に関しては現在、国際学会ASBBSによる論文誌「Journal of Business and Behavioral Sciences」に投稿するための論文を執筆中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始時の計画としては、臨界事象法によるインタビュー調査をつうじてコンタクトセンターにおけるサービスに関する事例を収集し分析にかけるというものであったが、コンタクトセンターでの予備的調査をつうじて、より適切な方法に切り替える必要性が出てきた。 具体的には、コンタクトセンターでの問い合わせ事例の機密性、および本研究が必要とする種の事例の少なさという問題に直面した。さらには、価値共同破壊という現象をより精緻に理解するためには、コンタクトセンターに代表される「キュー(手がかり)の少ないサービス」とは対照的なサービスにおける価値共同破壊を比較対象として研究する必要性も出てきた。 前者の課題に対応するために、当初予定していた研究方法の一部を変更することにした。すなわち、当初は事例収集の方法として「臨界事象法によるインタビュー調査」を予定していたが、より適切な方法として「シナリオによる事例収集」に切り替えた。また、後者の課題(コンタクトセンターにおけるサービスと対照的なサービスに関する研究の必要性)については、当初予定していて研究計画に加えて、カフェにおける価値共同破壊の研究を追加して実施した。 これらの変更を行ったため、当初の研究計画に追加部分と修正部分が発生した結果、全体的にやや遅れが発生している。そのため、上記区分を「やや遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記「現在までの進捗状況」で示したように、本研究の推進において当初の計画よりもやや遅れが生じている。正確には、追加的なステップ(コンタクトセンターにおけるサービスと対照的なサービスに関する研究の必要性)や修正点(研究方法の一部変更)が発生している。 追加的なステップに関しては初年度でほぼ対応が終了したものの、研究方法の一部変更に関しては次年度(今年度)にもその影響が残る。そこで、今後の研究においては、事例の収集と分析を二段階にわけることで効率性を向上させたい。すなわち、第一段階では各種のコンタクトセンターにおける対応事例を広く収集し、それにもとづき簡易的なシナリオを準備して調査・分析を行う。第二段階ではさらなる事例調査を踏まえて、より多様かつ充実したシナリオを用意して分析を行う。第一段階で一定の研究成果を確保しつつ、第二段階においてその結果を補強あるいは高度化するという方策で研究を推進する。
|
Causes of Carryover |
上記「現在までの進捗状況」で示したように、当初の研究計画と比べて追加的な研究と研究方法の修正が発生した。初年度には、特に前者(追加的な研究)への対応を行ったが、これは実地調査よりもむしろ研究室で実施する研究作業が多くを占めた。そのため、当初予定していたほどの旅費が初年度に発生せず、これが主な要因となって次年度使用額が生じた。 また、このことと連動して、当初予定していた以上に文献等の購入が増加した。次年度以降では、当初の研究計画において初年度に実施する予定であった実地調査などを後ろ倒しで行うとともに、文献等の購入で増加した分の金額を、実地調査の効率化をつうじてバランスさせる計画である。
|
Research Products
(2 results)