2023 Fiscal Year Research-status Report
ポスト復興期における地域社会の災害対応ガバナンスに関する比較研究
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23K01727
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
横田 尚俊 山口大学, 人文学部, 教授 (10240194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
速水 聖子 山口大学, 人文学部, 教授 (90271098)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 大規模災害 / ポスト復興期 / 地域社会 / 地域住民組織 / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大規模災害の復興過程に関する文献・資料を収集し、従来の研究成果・知見を摂取するとともに、調査研究の進め方について検討した。大規模災害のうち、東日本大震災については、遠方・長期避難者の当事者間支援活動の現状と課題、故郷との関係変化等について聞き取り調査を実施した。 また、1991年~1995年に発生した雲仙普賢岳災害の復興期・ポスト復興期に焦点を合わせ、災害当時から現在に至るまでの地域社会変動や災害復興・防災対策の変遷を知る関係者に聞き取り調査を実施し、関連資料の収集も行った。 災害からおよそ30年、復興事業が一段落してからでも20年を経過する中で、雲仙普賢岳災害被災地(長崎県島原市)でも住民構成や地域住民組織の世代交代が進んでおり、町内会加入率の低下と自主防災会の形骸化、災害ボランティア団体のメンバーの固定化と高齢化、それにともなう活動停滞などが生じていることがわかった。 そうした変化に対応するために、自治体コミュニティ政策の見直しが行われ、地域自治組織や災害対応ガバナンスの再編も試みられつつある。被害が特に大きく、独自のかさ上げ事業による復興を進めた被災地区では、新たなまちづくり組織が発足するとともに、自主防災会の再編、災害の記憶と教訓を次世代の地域住民や子どもたちに伝えていく取り組みなども開始されている。 調査と収集資料の検討に基づくこれらの知見を整理し、現在、分析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、雲仙普賢岳災害の復興過程とポスト復興期における被災地の地域社会変動、および自治体コミュニティ政策、災害対応ガバナンスの再編に関する調査、関連資料の収集、およびそれらデータの整理に時間を要したため、他の大規模災害(阪神・淡路大震災など)の復興過程とポスト復興期に関する調査をわずかしか実施することができなかった。また、得られた知見の整理・分析に時間を要しており、中間的な成果のとりまとめを年度内に終えることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実施した雲仙普賢岳災害後の復興期、ポスト復興期における地域社会変動や災害対応ガバナンスに関するデータの分析・とりまとめ、追加調査等を実施するとともに、他の大規模災害(阪神・淡路大震災や東日本大震災)に関しても、同様な視点に基づき、鋭意調査を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
調査と資料収集を事前に予定したスケジュールで進めることができなかったため、次年度使用額が生じたものである。翌年度分請求額と合わせて、阪神・淡路大震災被災地の調査等に活用する予定である。
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