2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of new assessment indicators for Active Healthy Aging by collaboration between sociology and women's medicine
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23K01809
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
島本 太香子 奈良大学, 社会学部, 教授 (70254505)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ヘルスケア / ライフステージ / 女性医学 / 社会学 / 性差医療 / ウェルビーイング |
Outline of Annual Research Achievements |
女性の健康は生物学的要因(ホルモン変動)、ライフスタイルや社会・心理的要因の影響を受け、諸症状が生活の質(quality of life; QOL)を低下させ、女性活躍を推進する現代社会の損失にもつながることから、医療の枠を超えて、各人の状況に則した包括的なヘルスケアシステムが求められる。超高齢化社会では、閉経期はActive Agingへのスタート地点と位置づけられる。 本研究では、これまでの研究成果(基盤C 25360057)と、コロナ禍初期に実施した市民調査のジェンダー格差の結果をもとに、ライフイベントの総括としての閉経期の価値観、健康リテラシー、現代の社会学的要因を総合評価する「アセスメント指標」を開発する。その活用により、各人が望むAgingのプロセスで高齢期へシームレスに移行するためのセルフケアと、支援者に共有される指針とプログラムを作成する。 研究の初年度である2023年度は、Active Healthy Agingへの移行上の課題抽出のために、高齢期の男女の健康と生活上の課題、家庭内性別役割の意識などの実情把握を行った。研究者らが前述の市民調査(2020年)で、コロナ禍の生活と健康への影響にはジェンダー格差があり、ライフステージの特性に応じて異なることを示したことから、今回は、前述の調査で高齢者と他世代で格差を認めた項目を中心としたアンケート調査を実施した。 日常生活が自立し社会活動に参加可能な高齢者約300名を対象としたところ、コロナ禍での家族の世話や家事の負担感、医療機関の受診抑制は、他世代と同様に女性の方が高率であり、配偶者の有無や同居家族で差異を認めた。また高齢者にも家庭内の役割分担に性差が認められ、内閣府が示したコロナ下の女性への負担増大は、高齢者にも存在した可能性がある。コロナ禍の生活への影響の認識にジェンダー要因が関連することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢期の生活と健康に関わる社会学的要因の実情調査について、概ね予定通りにアンケート調査を実施している。現在、他世代の一般市民に対するアンケート調査の結果を集計、解析中であり、その結果に基づいて、必要な要因の抽出を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、各ライフステージの一般市民への調査、健康感の高い活動的な高齢者の生活と健康に関わる調査を進めているが、今後は、医療等のケアが必要な高齢者、閉経期前後の年代で課題を有する対象者への調査を実施する。 中年期以降の生活と健康状態については、個別の背景の影響が大きいため、調査対象者の選定について、関係機関との調整のもとで実施していく。
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Causes of Carryover |
調査計画の一部について、関係機関と調査対象との調整のために、実施時期が年度を越え、2023年度内に実施できなかった。そのため、調査に関わる人件費、旅費等を2024年度に執行予定である。
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Research Products
(3 results)