2023 Fiscal Year Research-status Report
伝わりにくさ≠話しづらさ(発話障害)―当事者にとってのコミュニケーション障害―
Project/Area Number |
23K01818
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
中村 文 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 講師 (10709629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 由嗣 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (60280210)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | dysarthria(運動障害性構音障害) / 了解度 / 満足度 / 当事者 / コミュニケーション相手 / 会話明瞭度 / コミュニケーション態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、dysarthria(運動障害性構音障害)のある人用に開発した「日常コミュニケーション遂行度測定(CPM)」の臨床的有用性を検証することである。CPMは、日常コミュニケーションにおける了解度と満足度という2つのスケールを用いてインタビューを行い、当事者であるdysarthriaのある人および会話相手が感じる困難や、その変化を明らかにするものである。本研究では、事例検討を通して、発話機能評価との比較、評定者間差異の傾向分類を行ったうえで、評定値やその差のみに着目するのではなく、評定理由やコミュニケーション状況に関する当事者の具体的な発言から、評定者間差異の要因・背景についての考察を行う。 2023年度には、dysarthriaのある人15名、その会話相手10名から、CPMの結果を得た。加えて、CPMの評定者差異の背景に関連すると思われる「会話相手の対応(コミュニケーション上の工夫や反応,話し方など) に対するdysarthriaのある人の話しやすさ(段階評定)」を調査した。医療福祉系学生が想像する「会話相手の対応に対するdysarthriaのある人の感じ方」についても112名の学生から回答を得た。得られた結果をもとに各評定値間の関連を含む事例検討に着手した。話しやすさ評定と会話明瞭度との相関は有意でなく、相手の対応に対する感じ方には会話明瞭度よりも、個人の受け取り方,相手や状況による違いが影響する可能性が示唆された。今後、事例数を増やし、全体として各評定値間の関連を検討するとともに、事例ごとにCPMの当事者間差異について、話しやすさ評定を含む、当事者の具体的な発言からの考察を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
dysarthriaのある人15名、その会話相手10名から「日常コミュニケーション遂行度測定(CPM)」および「会話相手の対応に対するdysarthriaのある人の話しやすさ(段階評定)」の結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
事例数を増やし、全体として各評定値間の関連を検討するとともに、事例ごとに「日常コミュニケーション遂行度測定(CPM)」の当事者間差異について、話しやすさ評定を含む、当事者の具体的な発言からの考察を進める予定である。
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Causes of Carryover |
所属機関の在庫品を使用したため、消耗品については翌年度以降に補充していく予定である。協力依頼およびデータ収集を中心におこなったため、分析用ノートパソコンを未購入である。分析を進めていく翌年度に購入予定である。医療・福祉施設への研究依頼および方法説明、関連する研究をおこなう研究者との情報交換のために旅費の支出を予定していたが、電話やオンライン会議によって行ったため、予定していた旅費の支出がなかった。
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