2023 Fiscal Year Research-status Report
明治・大正期における福田会育児院の財政に占める寄付の全容と寄付文化に関する研究
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23K01824
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
宇都 榮子 専修大学, その他部局等, 名誉教授 (40060701)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 児童養護施設 / 施設財政 / 仏教 / 寄付文化 / 明治・大正期 / 慈善箱 / 慈善演芸会 / 福田会恵愛部 |
Outline of Annual Research Achievements |
福田会育児院を対象として、社会的救済制度未確立期(明治・大正期)の児童施設資金として人びとからの寄付金品等の果たした役割を明確にするため以下の研究を実施した。 Ⅰ史資料の入力整理と収集調査 1.史資料の入力と整理a)新聞紙記事 明教新誌(福田会関係の記事入力データをもとに寄付の実際を整理)、福田会月報【1905年~1921年(欠号あり)、1939年】の全記事を文字入力しデータ化、弘教新聞(福田会関係記事を入力しデータ化)b)国会図書館デジタルコレクション検索文献の内『児童研究』『人道』『婦人雑誌』等の福田会関係記事を入力しデータ化。福田会関連記事から寄付関係記事の検討を進める準備は進んだ。2.毛利博物館(山口県防府市)所蔵並びに高崎経済大学所蔵の福田会恵愛部長毛利安子文書を収集、翻刻作業を進めた。大正期から昭和期に至る寄付関連史料の発見があった。 Ⅱ研究会の開催と学会発表 1.研究会開催 1)江連崇「育児院史研究の文献リストの作成と検討」 2)桜井昭男「福田会と寄付」3)宇都榮子「福田会の運営組織並びに会友組織について」 4)村上葵「収容児童の紹介者について」5)菅田理一、日本仏教社会福祉学会での発表について施療を中心に発表 6)土井直子「施餓鬼について」 7)宇都榮子・菅田理一・村上葵「山口県調査報告(毛利博物館、山口県立文書観所蔵史料について)」8)小笠原強「福田会への個人寄付の事例についてー別府金七の場合」、9)桜井昭男・村上葵「勧進とは」2.学会発表 菅田理一・土井直子・宇都榮子「明治・大正期における福田会育児院の財政に占める寄付の全容と寄付文化に関する研究」について日本仏教社会福祉学会にて発表。医療、施餓鬼、投入銭寄付の実際について発表。 以上、史資料の蒐集とデータ化は進展したが、検討分析の実施が十分でなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先に研究実績の概要で述べたように、これまでの研究成果をもとにした研究会での発表、学会発表は実施できたが、今期の研究で進めた『福田会月報』などの記事入力によるデータ化蒐集史料毛利家文書を活用した検討分析があまり進まなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
『福田会月報』、『明教新誌』、『弘教新聞』、『朝日新聞』、『読売新聞』等の入力データ、仏教系婦人雑誌や新聞や雑誌等に掲載の寄付金品、慈善箱に寄せられた投入銭、法事の際の寄付、恵愛部による寄付、慈善歌舞伎に関する歌舞伎関連記事等を用いて寄付の在り方、その意味について検討を進めていく。 また、慈善に関する先行研究の検討をさらに進め、社会的救済制度確立以前の寄付の持つ意味を検討し、研究協力者と共有していきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由 1.謝金支払いによる史資料入力者の採用が遅れたことと2名の予定が1名であったことから。2.購入予定の消耗品が必要でなくなったため未購入。
次年度は、消耗品購入の必要について再検討し使用、謝金支払いによる史資料入力者の採用を年度当初から進め適正に費用を使用していきたい。
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