2023 Fiscal Year Research-status Report
非行少年の再非行抑止に関する研究―支援者を受容する意識に着目して―
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23K01832
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
作田 誠一郎 佛教大学, 社会学部, 教授 (10448277)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 少年非行 / 少年院 / 支援者観 / 立ち直り |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、再犯・再非行の抑止として非行少年の社会的支援が大きく影響すると考え、その支援を受容するための要因(支援者観)を探ることが目的である。本年の研究実績としては、初年度であるために計画していた施設においてインタビュー調査の実施を中心に進めた。一方で、これまで継続している非行少年の立ち直りと犯罪・非行からの離脱に大きく影響する家族に注目して分析を進めた。少年院では、月に2回程度の面会があり、これまで家族と向きあっていなかった非行少年が、少年院の生活という物理的にも精神的にも距離をとる生活環境のもと、改めて家族について考える機会が得られる。 そこで、少年院に在院している少年にインタビュー調査を実施したところ、家族に対する意識の変容や特徴が認められた。その変容を少年自身の変容(自己評価)と家族の少年に対する変化(言動等)、プラスの変化(関係性や意識等)またはマイナスの変化(関係性や意識等)として4象限マトリックスで分類したところ、特に対象者が多かった第1象限(少年と家族がともに変化)においてマイナスからプラスの変化が認められた。しかし、少数ではあるが、再入院の少年において少年と家族がともに変化しない事例や悪化した関係性が入院後にも継続している事例が認められた。このような少年に対して、少年処遇のなかで法務教官や保護観察官等がどのように支援していくのかが、再犯・再非行においても重要であることを指摘した。また社会的支援を受容して犯罪や非行から離脱するためには、出院後の新たな生活に向けた家族との関係や家族観の再構築について、少年院の生活や法務教官との関わりを通じて考え、面会や手紙を通じて変化させることが端緒となることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、感染症のリスクを抱えながら、その予防に配慮した調査を実施できた。しかし、一部の施設においては、対象者の承諾はとれたものの保護者の承諾が難航するケースも認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も調査対象の施設とともに調査対象者の理解を得ながらインタビュー調査を継続する。保護者の同意に関しては、施設の担当者とともに保護者の面会等の機会を通じて調査に対する理解と協力を得ながら実施できるように努める。
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Causes of Carryover |
現状として、インタビュー調査から得られた音声データの書き起こしに関して、知り得た情報の秘匿等を誓約した学生の確保が難航している。次年度は、新たに雇用した学生に対して書き起こしを依頼して、データを確保する予定である。また一部の施設において、協定書は取り交わしているが、調査対象となる少年の選定および保護者への承諾が取れていないケースがあり、旅費等の執行ができなかったことも理由としてあげられる。
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Research Products
(1 results)