2023 Fiscal Year Research-status Report
内務省嘱託・生江孝之の実証的研究:「日本社会事業の父」の学術的な再検証に向けて
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23K01838
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Research Institution | Ryukoku University Faculty of Junior College |
Principal Investigator |
中根 真 龍谷大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00309642)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 生江孝之 / 内務省嘱託 / 雑誌『斯民』 / 雑誌『慈善』 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の具体的内容】 第1に、生江孝之の年譜・著作文献目録、自叙伝などをふまえ、内務省嘱託としての15年間の年譜・著作文献目録を作成した。その作成過程において、内務省嘱託・生江をとらえるための基本的な分析枠組み(仮説)を設定した。第2に、内務省地方局の関連資料の確認・整理について、雑誌『斯民』への生江の寄稿論文等をすべて複写・収集し、時系列的に内容の要約を含めて整理した。併せて、嘱託として生江が編集に関与した雑誌『慈善』等の寄稿論文等も時系列的にリスト化し、2つの雑誌の寄稿内容が比較・対照できるように作表、整序の作業を進めている。 【意義や重要性】 生江に関する先行研究の偏重や限界を是正するための視点を意識し、多面的・多角的な側面から検討を試みた。第1に、生江の内務省嘱託としての15年間(1909~1923年)に研究の焦点を絞り、教育者、役職者、研究者の3つの側面から総合的な把握を可能とする分析枠組み(仮説)の設定を試み、調査・研究を進めている点である。生江に関する先行研究の多くは『社会事業綱要』などの著作物に集中し、もっぱら研究者の側面に偏ってきたが、本研究は教育者、役職者の側面にも留意し、総合的な把握に努める。 第2に、嘱託・生江が多数寄稿した2つの雑誌『斯民』と『慈善』等の寄稿論文等を時系列的に比較対照させる試みは管見の限り前例がない。従前の社会福祉研究が中央慈善協会編『慈善』等に関心を集中してきたのに対し、中央報徳会編『斯民』に視野を広げることは、生江が内務省入省前に関与した内務省地方局有志編『田園都市』(1907年)との連続性を見出せるなど地方改良との関わりの解明につながることが見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開始直後の2023年4月下旬、生江文庫の利用・活用制限の可能性が発覚した。すなわち、2023年8月上旬から2026年3月末にかけて、同志社大学今出川校地図書館の建替工事が実施されている(今出川校地新図書館の建設について |ニュース一覧|同志社大学 (doshisha.ac.jp))。 本研究の目的に照らすと、まったく想定外の事態であったが、本課題の研究期間と立替工事予定期間とがほぼ一致している現状を考慮すると、活用する文献の再検討を現実的に試みた。具体的には、生江文庫目録の掲載文献と、国立国会図書館、大阪府立図書館等、その他の図書館の所蔵文献とを照らし合わせながら、生江文庫を代替することがどの程度可能であるかを確認した。むろん、完全な代替はできないが、部分的には代替可能であるとの見通しが立った。 以上の状況をふまえ、生江口述の自叙伝(1958)をはじめ、先行研究で作成された年譜等、各図書館所蔵の文献に依拠して、おおむね順調に調査が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の支出について、物品費に多くの未執行額が発生したが、令和6年度以降、資料図書費、消耗品費等として、適切に執行する計画である。
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Causes of Carryover |
令和5年度の研究経費執行の変更に伴うものである。第1に設備備品の購入の延期である。当初計画していたノート型パソコン、資料図書(2件)は、いずれも現在実施中の調査・研究の実際に照らした場合、調達を急ぐ必要がなかったためである。第2に国内旅費の未執行、東京出張延期に伴うものである。 今後の使用計画は、現在実施中の調査・研究の実際に照らし、適切かつ有効な経費の執行、例えば、購入資料の精選に努める等である。
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