2023 Fiscal Year Research-status Report
ベトナムの元ハンセン病患者の子どもたちが抱える潜在因子としての脆弱性の分析
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23K01851
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
渡辺 弘之 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (10300097)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ハンセン病 / ベトナム / 子どもたち / QOL / Vulnerability(傷つきやすさ) |
Outline of Annual Research Achievements |
ハンセン病元患者の子ども群と一般群全体の比較を行った結果、身体的健康(t=-4.597, df=87.643, p<.001)、友だち(t=-2.791, df=103, p<.01)、QOL総得点(t=-2.791, df=103, p<.01)において、元患者の子どもたちが有意に低いという結果となった。学校種別に検定を行った結果、小学生の場合、元患者の子ども群と一般群との間には有意差がみられなかったが、身体的健康、精神的健康、自尊感情などの項目において 極端に低い外れ値がみられ、状態の良くない子どもがいることが明らかとなった。中学生の場合、身体的健康(t=-2.947, df=46, p<.05)とQOL総得点(t=-2.415, df=46, p<.01)において有意差がみられ、元患者の子どもたちの方が有意に低い結果となった。高校生の場合、身体的健康と学校生活に有意差がみられた。身体的健康は一般群の方が有意に高く(t =-2.474, df= 17.474, p<.01)、学校生活については元患者の子どもたちの方が有意に高かった(t=2.889, df=22.977, p<.01)。 今回の研究については、子どもを対象として包括的健康尺度(Kid-KINDL)を用いて実施した。しかし、社会的少数者の子どもの場合、精神的に複雑な機序を抱 えていることから、尺度の妥当性・信頼性が不十分と考えられる点もあると判断された。そのため、この研究結果を基にして、2023年度には独自包括的健康尺度の開発に着手をした。初回の調査は2023年度、2回目の調査は2024年度に実施の予定である。 また、この研究結果の概要については原著論文として公開の予定である(2024年8月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年はベトナムでの現地調査が再開できることとなり、8月に現地の病院と共同で調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究では子どもたちの発達段階に応じたデータの収集を行っており、2023年度は主に小学校の児童生徒を対象としたデータ収集を行った。2024年移行は中学生、高校生へのデータ収集を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初夏季と春季の2回現地調査を予定し、予算を執行していた。しかし、円安の進行と現地での物価高騰が重なり、残していた予算では春季の調査費用の捻出が困難となり、結果的に調査が行えず予算を残してしまったことによる。
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