2023 Fiscal Year Research-status Report
非行からの離脱要因に基づく当事者のストレングスを生かした更生支援に関する研究
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23K01864
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
坂野 剛崇 大阪経済大学, 人間科学部, 教授 (90735218)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非行 / 非行少年 / 犯罪 / 立ち直り / 犯罪加害者家族 / 現象学的アプローチ / 心理鑑定 / 情状鑑定 |
Outline of Annual Research Achievements |
かつて非行があった者に対するインタビュー調査を実施し、それを現象学的アプローチを用いて分析して、非行化の原因や背景及び非行からの離脱に至ったプロセスとそれに係る要因を明らかにした。そして、それに基づいて非行からの離脱・立ち直りに対する具体的な支援のあり方について考察した。その結果、非行化は、他者と安定した情緒的な関係の中で心安らかに過ごせる環境=「居場所」の獲得が大きな要因になっていることと考察された。また、非行からの離脱・立ち直りにおいても、いわゆる不良や非行集団ではない「居場所」の獲得とそこでの「出番」の用意が重要になることが考察された。また、行動化を抑制するために、情緒の分化を促進する心理的支援が不可欠であることも考察された。 また、非行少年に対するの意識や認識、印象に関して、質問紙による調査を20~60歳台の男女800人を対象に実施した。その結果、現状、好ましい性格、生活態度であっても、少年院入所歴があるということが態度(受容/拒否的)に有意に影響することが明らかになった。すなわち、「非行少年=かつて非行があった」ということがスティグマになっていることが考察された。 なお、研究成果を援用し、「虐待と非行」に関する論文を「司法心理臨床実践」(共著)に掲載した。 また、犯罪加害者家族の支援に関するシンポジウムの企画、運営(司会)し、研究成果に基づいて、犯罪加害者家族の現状と支援の実際・課題に関する啓蒙活動を行った。また、公認心理師向けの研修において、研究成果に基づき、非行のある子どもとその家族に対する支援のあり方について講義を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会発表、論文、シンポジウム、著書による成果発表ができており、進展としてはおおむね順調である。2024年度も引き続き、データの収集と成果物の作成にあたる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者の確保が困難なところがあるが、2024年度同様、インタビュー調査を中心にデータ収集に努める。また、対象者を非行・犯罪のあった本人のみとせず、その家族も対象とし、犯罪加害者家族への支援のあり方についても考察し、再非行・再犯防止に向けた心理支援のあり方について考察する。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査によるデータ収集、成果発表及び情報収集のための学会、研究会等への出席のための旅費、参加費等、また、書籍等資料集のための費用が必要となる。
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Research Products
(4 results)