2023 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルワーク教育で促進する批判的思考コンピテンシーの特定と評価指標の開発
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23K01897
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
山田 美保 (貫美保) 西南学院大学, 人間科学部, 准教授 (90326992)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク教育 / 批判的思考 / 評価指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存の支援システムでは対応が困難な課題が顕在化する社会において、その背景を多角的に分析し、社会構造に働きかけるソーシャルワーク機能の要請が高まっている。この機能を支える力の一つに批判的思考がある。ソーシャルワークにおいて、批判的思考教育の必要性が指摘されて久しいが、その専門性に関連付けた教育法の確立にはいたっていない。また、ソーシャルワーク専門職養成カリキュラムが見直され、従来の知識偏重型から価値-知識-技術を統合する実践力(コンピテンシー)基盤教育への転換が試みられている。そのため、ソーシャルワーク教育の到達点を明確にすることの重要性が増している。そこで本研究は、ソーシャルワークおける批判的思考教育の実態を探究し、専門教育としての着眼点を明確にしたうえで、教育上の到達点を質的に評価するため指標を作成することを目的としている。 令和5年度(研究1年目)は、ソーシャルワークにおける批判的思考教育の実態を把握するために量的調査を行う計画とした。まず、調査設計のレファレンス作成のため、ソーシャルワークにおける批判的思考教育に関する国内外の文献調査を行った。その結果、ソーシャルワークにおける批判的思考教育アプローチの多面性が確認され、量的調査の枠組みを再構築する必要性が生じた。そこで、当初の計画を見直し、ソーシャルワークにおける批判的思考教育アプローチに関する予備調査として、ソーシャルワーク教育者を対象とした聞き取り調査を実施するための準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は、ソーシャルワークにおける批判的思考教育に関する量的調査を実施する計画であった。そのため、文献研究を通してソーシャルワークにおける批判的思考の概念および教育アプローチに関する知見の整理を行い、調査の設計を試みた。その過程で、ソーシャルワークにおける批判的思考教育の多面性を反映させた調査内容とするための方策が必要であることが明らかとなった。そこで、計画を一部見直し、予備調査としての聞き取り調査の実施準備を行い、倫理審査および調査協力依頼を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
批判的ソーシャルワーク教育者への聞き取り調査を実施し、批判的思考を促進することを意図した教育的アプローチや評価の視点について探索する。その結果を踏まえ、ソーシャルワークにおける批判的思考教育の多面性を反映した実態調査を開始することを目標とする。
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Causes of Carryover |
本年度の未使用額は、調査方法を見直しに伴い実態状況調査を行わなかったことによって生じたものである。次年度は、予備調査である聞き取り調査の実施と分析、本調査の実施、および研究成果報告に伴う経費を使用する計画とする。
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