2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on Independence Support for Adolescents with Foreign Roots in Social Care
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23K01917
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
南野 奈津子 東洋大学, 福祉社会デザイン学部, 教授 (20623705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 純世 愛知淑徳大学, 福祉貢献学部, 教授 (10342198)
和田上 貴昭 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (30386289)
山田 勝美 山梨県立大学, 人間福祉学部, 教授 (70290640)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 社会的養護 / 外国にルーツをもつ子ども / 自立支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
外国にルーツをもち、児童養護施設等で生活している思春期児童の自立に係る支援ニーズの実際、および支援関係者の認識等を把握するため、①国内外の文献調査②児童養護施設へのインタビュー調査を行った。 ①国内外の文献調査では、数少ない国内文献のほぼすべてで、直接子どもたちの生活や人生に、目に見える形で不利益のある国籍や在留資格に関する問題を、支援における課題として提示されていた。一方で、母語や母国の尊重、差別や偏見などに関する指摘は少なく、違いを尊重した、あるいは違いを意識した支援への着眼はまだ十分に行われていない事が明らかになった。 海外文献では、特にオーストラリアで、里親や社会的養護の支援を受ける子どもや家族における文化の尊重の重要性が強調されていた。 ②インタビュー調査では、東京都、京都府、愛知県の児童養護施設計4カ所にて、支援経験をもつ職員(主任以上)へのインタビュー調査を行った。インタビュー調査では、外国にルーツをもつ子どもの入所まで、入所中、退所まで、そして退所後のこどもや保護者の状況について、事例の聞き取りを行った。 調査からは、日本語理解が困難な子どもへの支援において、子どもの年齢や兄弟の有無によっても状況は変わる実情、ジェスチャー等も使いながら意思の疎通を図った事例、高校受験で本人の日本語の状況に合わせて外部の社会資源を活用した事例、自身のアイデンティティに悩む様子や他児との違いに敏感である事例等が把握された。また、家族再統合においても、保護者が安定した生活を営むことが出来ず、帰化の支援を出入国在留管理庁とやり取りしながら行う事例、アパート契約で困難に直面しやすいことを考慮した支援等について把握された。 これらの研究成果は、日本児童養護実践学会第16回研究大会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた①国内外の文献調査②複数か所の児童養護施設でのインタビュー調査を行うことが出来た。これらの知見により得た情報を基に、2024年度に行う海外視察での調査内容、児童養護施設や自立援助ホームを対象とするアンケート調査の項目の整理など、今後の調査につながる作業を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、支援者側のスキルや知識に関する認識をより具体的に把握するために、5~7月に全国の児童養護施設、自立援助ホームを対象としたアンケート調査を実施する。8~10月に集計・分析、そして11~12月には、アンケート調査の分析結果をまとめ、考察を進める予定である。 そして、アンケート調査の結果をふまえつつ、支援者側のスキルや知識に関する認識をより具体的に把握するために、児童養護施設・自立援助ホームの退所者(5名程度)に対するインタビュー調査を行う準備を進める。 また、外国における、多様なルーツをもつ思春期児童で、社会的養護や里親の支援を受ける子どもや支援者の状況や支援について実践や課題に関するデータを収集するため、オーストラリアでの視察調査を行う。これらの調査を行う事で、3年目の2025年度には、専門的支援のあり方を探求するための、児童養護施設、自立援助ホームの職員に対するヒアリング調査を行い、専門職が持つべき知識や技術を求められる研修モデルを示すこととしている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した理由として、第一に、成果発表を行った学会が、研究代表者の勤務校であったこともあり、交通費が不要であったほか、東京近辺在住の研究者の交通費がかからなかった。また、図書などの購入において、ウェブサイトなどの活用により、実際の支出が抑制された。 次年度の使用計画として、海外での外国にルーツをもつ社会的養護を経た思春期児童の支援実践状況の海外の視察調査、及び当事者へのインタビュー調査に充てる予定である。特に、海外の視察調査において、飛行機代、宿泊費の高騰により想定以上の費用が掛かることが見込まれることから、次年度使用額を海外の視察調査にて使用することで、十分なデータ収集を行う予定である。
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Research Products
(3 results)