2023 Fiscal Year Research-status Report
サービス付き高齢者向け住宅のタイプ別「虐待リスク評価指標」の開発
Project/Area Number |
23K01943
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
松本 望 日本女子大学, 人間社会学部, 講師 (10758668)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | サービス付き高齢者向け住宅 / 高齢者虐待 / 虐待リスク / 評価指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで焦点が当てられてこなかったサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)における虐待の予防のため、質問紙調査とヒアリング調査をもとに、サ高住のタイプ別の虐待評価指標を開発することを目的としている。 2023年度は主に、①先行研究のレビュー、②過去の研究データの整理・分析、③専門家へのヒアリングをもとに、評価指標の開発に向けた質問紙調査の内容や実施方法、サ高住のタイプの分類方法について検討した。 質問紙調査の内容に関しては、②過去の研究データの整理・分析から、介護施設等を対象とした先行研究と虐待予防策や、虐待の実態の因子構造がサ高住においても同様であることを明らかにした。そのため、本研究においても先行研究と同様の調査項目を用いることとした。 調査の実施方法に関しては「サービス付き情報公表システム」に掲載されている情報をもとに調査を実施する予定であったが、情報が更新されていない場合があること、回収率を向上させることを目的に、地域を限定し都道府県が公開している「重要事項説明書」などのデータも活用することとした。 サ高住のタイプの分類方法に関しては、①先行研究のレビュー、および②過去の研究データの整理から、サ高住において提供されるサービスの内容やその提供方法、専門職を含めた職員配置など、各サ高住において「対応可能なケアニーズ」と、入居者の認知症の程度や医療依存度など、実際に入居する「入居者のケアニーズ」の不均衡が、虐待や不適切なケアのリスクを高める可能性が示唆された。とりわけサ高住では、介護サービスの提供が義務付けられていないことから、その提供の有無、提供方法が各サ高住によって大きく異なり、それが虐待リスクにも影響していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、2023年度に質問紙調査を実施する計画だったが、調査方法や調査内容の精査に時間を要し、当初計画していたよりはやや遅れている状況である。 しかし、2023年度に実施した先行研究のレビューや過去の研究データの整理・分析により、質問紙調査の調査内容は確定できている。また、質問紙調査の分析方法に関しても、既に因子構造を同定しその妥当性の検証もできており、サ高住のタイプ別の分類方法についても概ね決定しているなど、見通しが立っている状況である。 さらに、過去の研究データの分析結果については、国際学会も含めた学会での発表や、論文として発表するとともに、介護職員を対象とした研修会を複数回実施するなど、研究成果の社会への還元にも積極的に取り組んでいる。 以上の状況から、計画よりはやや遅れている状況ではあるものの、社会的意義や研究の目的を意識しながら取り組むことができており、総合評価として「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、質問紙調査の実施と分析に取り組む予定である。具体的には、これまでの研究結果をふまえ、回収率の向上を図りながら質問紙調査を実施し、妥当性の高い「虐待リスク評価指標(案)」を、サ高住のタイプ別に開発する。
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Causes of Carryover |
当初、2023年度に実施する計画であった質問紙調査の実施を翌年度の実施に変更したため。
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