2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on lipid oxidation inhibition mechanism of meat products by inorganic component contained in natural salt
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23K01987
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河原 聡 宮崎大学, 農学部, 教授 (30284821)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 食肉製品 / 食味性 / 食塩 / ミネラル / 脂質酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
無機塩類が食肉製品の脂質酸化に及ぼす影響を検討する目的で、本年度はモデルソーセージの脂質酸化および官能的な品質に1)種々の天然塩、ならびに2)天然塩に特徴的な陽イオン成分が及ぼす影響を調査した。 モデルソーセージは国産の豚もも肉を原材料とし、天然塩あるいはミネラル含量を調整した精製塩を添加してケーシングに充填したのち、中心温度63℃で30分間加熱して調製した。脂質酸化の指標としてチオバルビツール酸反応物質値(TBARS値)を水蒸気蒸留法により行うとともに、消費者型官能評価を実施した。また、ソーセージの加熱調理により生成する香気成分をヘッドスペース法により採取し、GC/MSにより分析した。 1)については、添加した食塩によりTBARS値は増減したが、各種のミネラル含量と明確な相関は認められなかった。一方、ナトリウム塩に対するモル比を調整してカリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩を添加した2)の試験結果から、カリウム塩およびカルシウム塩は脂質酸化を抑制することが確認されたが、酸化抑制の効果が得られる濃度域はカリウム塩の方がカルシウム塩より低いことが示された。官能評価においては、TBARS値とソーセージの食味性は不相関せず、脂質酸化の進展が必ずしも食味性を低下させる訳ではないと推測された。一方で、製品に検知された風味はカルシウム塩やマグネシウム塩により向上し、カリウム塩は不快風味を低減させることが示唆された。加熱時に発生する揮発性成分(鼻先香)の組成には明確な際は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究は進んでおり、一定の知見が得られている。当初の作業仮説とは異なる結果が得られているが、それらの検証は本年度に実施を計画している研究をとおして実施可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初に計画したとおり、本年度は食肉製品の脂質酸化に大きな影響を及ぼすと考えられているミオグロビンに食塩成分が及ぼす影響について検討を開始している。また昨年度の検討から、食肉製品の食味性を左右する香気については鼻先香よりも、風味を形成する口中香に食塩成分が影響することが示唆された。この結果を受け、本年度に計画している試作品の香気に関する検討項目においては、鼻先香成分に加え、口中香成分に関する検討も行うことにしている。
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Causes of Carryover |
学会発表の準備が遅れ、昨年度に成果を発表できなかった。本年度の秋に開催される日本暖地畜産学会に発表するよう準備を進めており、その際の旅費として使用する予定である。
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