2023 Fiscal Year Research-status Report
Systematic analytical research on the property of soy protein for the development of tailor-made food processing techniques
Project/Area Number |
23K02001
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
矢野 裕之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 主席研究員 (20355580)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 大豆蛋白質 / 球状食品 / スナック / ジスルフィド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では大豆蛋白質の分子構造が、大豆を主原料に作製した食品の物性や微細構造を形成するメカニズムの仮説を立案し検証することを目的としている。代表者らはこれまで植物蛋白質を主原料とした新規食品の開発を進めてきた(Yano & Fu, 2022; Yano & Fu, 2023)。本年度はグルテンフリー素材としての視点を含めた新規食品開発戦略の立案と、その一環で作製した球状スナック食品素材の形状形成についてメカニズム解析を行った。 大豆蛋白質を主原料とした生地を作製しオーブンで220℃、25分間焼成すると、生地が膨化するとともに蛋白質で構成される硬い皮膜が形成され球状の生成物が得られる。この生地を作製する際にグルタチオンやシステインなど、蛋白質のシステイン残基同士の架橋であるジスルフィド(S-S)結合の生成を阻害する化合物を添加すると、生地を焼成した際に形状がいびつになる、皮膜が部分的に破裂するなど、膜構造の正常な形成が阻害されることがわかった。大豆蛋白質に作用する”にがり”を生地に添加した場合にも同様の作用が観察されたことから、大豆蛋白質の膜形成におけるジスルフィド結合の寄与が明らかになった。 一方、サクサク感や口溶けなどの食感は食品の嗜好性の重要な評価ポイントの一つである。12名の熟練した評価パネルによる試食を伴うヒト官能評価試験の結果から、上記生地に菜種油を添加して焼成することで皮膜の物性が変化し球状形成やサクサクした食感を損なわずに口溶けが有意に向上することがわかった。大豆蛋白質で構成される膜の物性や溶解性が油脂の添加によって変化することから、大豆蛋白質を主原料としたスナック食品の開発において食感を制御できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した本年度の計画通り、加工条件下における大豆蛋白質の構造変化(膜形成)についてジスルフィド結合が重要な役割を果たすことを、球状スナック食品を例に確認したこと。また、球状に膨化するための膜形成を損なわず、食感を制御できる手法について知見を得たこと。
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Strategy for Future Research Activity |
大豆蛋白質の特性解析について、他のどんな食品素材と組み合わせるか、加工後の包装や熟成(保蔵状態)も影響するか、なども併せて検討し、新規知見の獲得に努める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額126,922円は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。
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