2023 Fiscal Year Research-status Report
A Social History of New Postwar Education in Sanriku Fishing Village, Iwate Prefecture
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23K02062
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
後藤 篤 宮城大学, 看護学群, 准教授 (60815786)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 戦後新教育 / 教育の社会史 / 三陸漁村 / コア・カリキュラム / 郷土教育 / 生活指導 / 生活綴方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、岩手県三陸漁村における戦後新教育実践を、1933年に発生した昭和三陸地震津波からの復興及び戦前郷土教育実践との関連において検討することである。 初年度にあたる2023(令和5)年度の研究課題は、岩手県気仙郡広田村(現陸前高田市)の広田小学校及び広田中学校で展開された戦後新教育実践(「広田プラン」)を対象とし、同校における戦前郷土教育の教育目的、教育内容上の連続性について考察を行うことであった。初年度の研究実績は、以下の通りである。 1)生活指導と呼ばれる戦前教育実践及び郷土教育実践に関するこれまでの研究成果を整理し、教育雑誌『生活指導』誌上に投稿した。2)陸前高田市立図書館および岩手県立図書館での資料調査を進め、教育目標・評価学会第34回大会の自由研究発表で調査結果の報告を行った。 具体的には1)に関して、子どもたちの生活に着目した戦前生活指導実践及び郷土教育実践の歴史に関する論稿のなかで、昭和三陸地震津波からの復興の過程における岩手県気仙郡の実践事例の特殊性について紹介することができた。2)に関して、昭和三陸地震津波から継続する三陸漁村の諸問題を確認し、教育を通した地域社会の形成という視点から、いかに学校が地域課題を捉え、カリキュラムに反映させようとしていたのかについての報告を行った。学会発表後の議論のなかでは「広田プラン」の内容分析の方法はもちろんのこと、三陸漁村の新教育を分析するための方法や観点について知見を深めることができた。 今後、戦前郷土教育実践からの連続性に加え、三陸漁村の「民主化」という観点を意識しつつ、学校資料及び郷土資料調査を継続的に進めることによって、漁村における戦後新教育実践の内実を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた陸前高田市立図書館、岩手県立図書館での学校資料調査、郷土資料調査を進めるとともに、そこでの調査結果に関する学会報告に至ることができた。また、学会発表後に研究協力者と発表内容に関する検討と、課題をふまえた岩手県立図書館での資料調査を共同で進めることができた。次年度の研究課題も明確になっていることから、上記の判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、「広田プラン」に関する原資料にアクセスできるように準備をすすめるとともに、昨年度実施できなかった研究協力者との現地調査を行う。現地調査に際しては、事前に研究協力者とのあいだで今年度の研究実績および調査進捗状況の共有を行う。このようにして、地域社会の側からの戦後教育史叙述に向けての研究推進を図る。
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Causes of Carryover |
研究協力者との日程調整の結果、今年度は1回(1名)との共同調査の実施となったため。次年度、改めて日程確認を進めるとともに、現地調査が難しい場合は、資料調査の結果を共有するオンラインミーティング等の機会を適宜設けていきたい。
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[Book] これからの教育学2023
Author(s)
神代 健彦、後藤 篤、横井 夏子
Total Pages
262
Publisher
有斐閣
ISBN
978-4-641-20006-7
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