2023 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Principal's Ability to Utilize Expertise of School Administrative Staff
Project/Area Number |
23K02177
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
藤原 文雄 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 部長 (80324325)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 学校事務職員 / 校長の学校事務職員活用能力 / 統合型リーダーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年4月から,学校事務職員の職務規定は事務に「従事する」から「つかさどる」へ改正され,教諭と同等の職務を担う職として位置付けられ,学校運営に参画することが期待されるようになった。こうした役割を学校事務職員が担う上では,法改正に対応した適切な期待を学校事務職員に対し表明し,その専門性を生かす仕組みや文化づくりを行う,「校長の学校事務職員活用能力」の発揮が不可欠である。しかし,「校長の学校事務職員活用能力」の更なる発揮を求める学校事務職員の意見は少なくない。こうしたことから,「校長の学校事務職員活用能力」の内実及びその発揮に影響を及ぼす要因及び形成プロセスを解明することは,学校事務職員の専門性発揮を促進する上で大きな意義を持つ。 本年度の研究においては,イギリスのスクールビジネスリーダーの専門職化における障害を探究することを通じて,「校長の学校事務職員活用能力」の内実についての考察を行った。本研究では,イギリスにおいて,専門職化を阻害する要因として,スクールビジネスリーダーの児童生徒への貢献についての校長の無理解,スクールビジネスリーダー役割の可視化の欠如,使用する言語の違いなどの要因が指摘されていることを明らかにした。さらに,学校組織には多様なリーダーシップ機能が必要であるにも関わらず,教育出身者のリーダーシップのみが存在するかのように言説空間を構成し,リーダーシップを独占していることが課題として認識されていることを示した。加えて,そうした課題に対処するためスクールビジネスリーダーの専門職団体は,教育,ビジネス,ガバナンスそれぞれのリーダーシップの結合を理想とした「統合型リーダーシップ」の浸透に取り組んでいることを明らかにした。 こうした専門職化を阻害する要因は,「校長の学校事務職員活用能力」の内実を構成するものであり,本研究の推進に大きな示唆を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,全国で四つの都道府県・政令指定都市を選択し,「校長の学校事務職員活用能力」の発揮状況の良好な校長3名ずつ計12名に各60分程度のインタビューを行う,さらに,学校において,校長の学校事務職員への関わりについて観察し記録を行う,加えて,その結果を分析し,「校長の学校事務職員活用能力」の内実及びその発揮に影響を及ぼす要因及び形成プロセスを解明する予定であった。しかし,イギリスのスクールビジネスリーダーの専門職化の研究にエフォートを注いだこと,また,インタビュー対象の校長の選定及び調整に時間を要し,インタビューの実施は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況の遅れを回復すべく,早期のインタビューの実施に取り組む。また,日本,イギリス以外の国においても,学校事務職員の専門性発揮の阻害要因として,「校長の学校事務職員活用能力」の発揮状況が認知されているか否か,また,その能力の向上にどのように取り組んでいるのか解明する作業にも取り組みたい。
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Causes of Carryover |
実施予定であったインタビューの実施が遅れたため,次年度使用額が生じた。進捗状況の遅れを回復すべく,早期のインタビューの実施に取り組む予定である。
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