2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the "Effective School" Model for a New Era
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23K02202
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Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
前馬 優策 広島経済大学, 教養教育部, 准教授 (00632738)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 効果のある学校 / 教育格差 / アフターコロナ / 学校文化 / 学力保障 / 教員文化 / 働き方改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍における教育格差に関する文献レビューを行うとともに、「格差拡大に対抗する」という学校のあるべき姿について考察を行った。その結果見えてきたのは、日本において様々な形で「機会の格差」が指摘されてきたものの、「結果の格差」についてはそれほどまでに明確ではなく、そこに学校が果たした役割があるのではないかということであった。 あわせて、これまで社会経済的に不利な子どもに対する学力保障に取り組んできた地域において、校長、教頭、教務主任、研究主任、教育長、指導主事といった、教育委員会と学校(小学校2校、中学校1校)の関係者13名にインタビュー調査を行った。 学校によっても違いはみられるが、コロナ禍およびアフターコロナの学校において、リーダー層は以下のように問題をとらえていた。第一に、教員が家庭訪問に出かけられなくなり、家庭とのつながりが薄れているように感じること。これまで家庭との連携を密にとることで子どもを支えてきた部分があったが、その意義も含めて教員全体で取り組めなくなってきたという。第二に、コロナ禍対応において「失敗が許されない雰囲気」がある中、個々の教員の自由な裁量が低下し、一部の教員の士気低下にもつながってしまったこと。第三に、不登校生徒に対してICT機器を通じた対応がなされる中で、小学校と中学校の対応の違いが、特に小学生と中学生のきょうだいがいるケースにおいて、問題となりつつあることが挙げられた。第三の課題からは、「学校に行くこと」をめぐる価値観の揺らぎが、学力保障の取組に影響を与えるかもしれない可能性が浮かび上がってきた。 一方で、子どもたちの学力水準や格差の状況は、コロナ禍前後で大きく変化があったとは言えないということも聞き取りの中で明らかになった。その理由を探ることも今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
聞き取り調査が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、学校関係者へのインタビューを行う。2024年度は、対象となっている3校の教員あわせて15名程度へのインタビュー調査を行う予定である。あわせて、2023年度に聞き取りを行った対象者にも、随時フォローアップの情報収集を行う。 また、当該地域で行われる教員研修や小中連携のための会議などの場にも参加し、参与観察や意見交換を随時行っていく。 そして、年度末には中間発表として学校現場への調査結果のフィードバックを行うとともに、学会報告を行い、最終年度で行うべきことの精選と論点整理につなげていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた宿泊を行わなかったり、一度の訪問で多くのインタビューを行ったことで、当初予算よりも経費が削減された。次年度は、管理職でなく教諭が調査対象となるため、主に放課後や長期休みの間に対応していただく予定である。そのため、初年度よりも訪問回数が多くなり、交通費がかかることが想定される。
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