2023 Fiscal Year Research-status Report
Measurement of Insensible Water Loss in Healthy Children
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23K02253
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
加藤 宏樹 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 手術・集中治療部, 医員 (60963121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 暁 神戸大学, 工学研究科, 教授 (20301244)
余谷 暢之 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 総合診療部, 医長 (70593127)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 不感蒸泄量 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度前半は不感蒸泄測定のため院内の倫理申請や物品の準備を行い、後半より実際に測定を開始した。本研究では3回のコホート研究を予定、各コホート研究では30から40人の子どもを対象とする予定であり、初回のコホート研究では25人の健常新生児を本研究にリクルートした。リクルート後に月齢の異なる3回のタイミング(新生児、月齢1ヶ月、月齢4から6ヶ月)で体重測定を行った。電子天秤を用いて対象者の体重を約20分から30分間測定、測定中は5秒間ごとに体重を記録した。本研究では不感蒸泄量を算出する式の作成を目標としているため、不感蒸泄量に影響が考えられる他の要因(身長、測定中の部屋の温度や湿度、皮膚温、皮膚の水分含有量)についても測定、記録した。新生児期は啼泣などなく落ち着いた状態で測定できたが、月齢1ヶ月以降は測定時に啼泣する児もいた。全対象者で体重測定の様子の一部をビデオで記録しており、啼泣を認めたことが不感蒸泄量の測定にどのような影響があったか後方視的に確認できるようにした。また啼泣が強く安静が保てない児では短時間で体重測定を中止せざるえない時もあったが、概ね20分以上測定することができた。今回のコホート研究のうち、さまざまな理由で2回目(月齢1ヶ月)、3回目(月齢4から6ヶ月)の測定を行うことができない対象者もいたが2024年5月までに62回分のデータ(新生児期25回、月齢1ヶ月23回、月齢4から6ヶ月14回)を測定することができた。現在はデータの解析中であり、解析後に2回目のコホート研究を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は3回のコホート研究のうち1回目のコホート研究を行った。 リクルートを検討したタイミングで対象となる健常新生児の入院がないタイミングもあったが、リクルートに関しては概ね順調に進んだ。また実際の体重測定に要する時間は測定の事前準備や同意書の取得などを含めると1人当たり約1時間必要であり、当初の想定より時間を要した。このような要因がある中で1回目のコホート研究では月最大で8人のリクルートが可能であり、5ヶ月間で25人の健常新生児をリクルートすることができた。 実際の体重測定は成人の不感蒸泄量の測定方法を参考に行った。新生児期は寝ていて安静を保てる時間が長く、問題なく測定することができた。月齢1ヶ月時は20分から30分間の測定期間中に安静を保てる児もいたが、空腹や排便の影響などにより啼泣してしまい安静を保てない児もいた。月齢4から6ヶ月も同様であり、月齢1ヶ月時以上に測定中に安静を保てる時間が短くなってしまった対象者がいた。ただし、全対象者で測定の一部をビデオで記録して啼泣の有無や安静を保てていたか記録しており、この点を加味して不感蒸泄量の評価を行う予定である。 当初の予定では3年間で100人の子どもを行う予定であり、半年間で25人のリクルートが可能であったことや成人の不感蒸泄量の測定方法を用いて概ね問題なくデータも取得できていることから、「おおむね順調に進展している」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず1回目のコホート研究のデータをまとめる予定である。併せてここまでの体重測定方法に問題点がなかったか、より質の高いデータを収集するための改善策がないか確認していく。その後は残りの2年間で約70~80人の健常新生児をリクルートして追加のデータ収集を行なっていく。 現時点では3回目の測定(月齢4から6ヶ月)を別の方法で行うことも検討している。1回目の測定は出生直後、2回目の測定は1ヶ月検診直後に行なったため保護者の負担も少なく測定を行うことができた。しかし、3回目の測定(月齢4から6ヶ月)に関しては本研究のために当院に来院して頂く必要があるため、保護者の負担も大きくなり一定数の脱落があった。また3回目の体重測定は個々に日程調整を行うため1回の測定日に複数人の体重測定を行うことができない時も多く、研究効率の側面からも継続が難しい状況であった。この問題点を解決するために月齢4から6ヶ月の対象者は別の方法でリクルートを行い測定することを検討している。具体的には毎月2回程度、当院で月齢4から6ヶ月向けに体重測定を行う日を設定する。体重測定日や本研究のコンセプトを記載したポスターを作成して当院周辺の開業医の先生に宣伝を依頼、本研究に協力してくださる人を集めて測定を行なっていく。
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Causes of Carryover |
現在、3回目の体重測定(月齢4から6ヶ月)について別の方法を検討中。新たな方法で行う場合は、電子天秤を含めた追加の物品が必要になるが本年度の時点では測定方法が定まっていないため、本年は物品の購入を行なっておらず次年度使用額が生じた。翌年度は新たな測定方法を決定し、それに必要な物品を購入予定。
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