2023 Fiscal Year Research-status Report
Effects of passion for childcare on ECEC teachers' mental health and quality of childcare
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23K02288
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
蛯原 正貴 江戸川大学, メディアコミュニケーション学部, 講師 (50783487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 勉 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (30452923)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 情熱 / 保育者 / バーンアウト / 保育実践力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、保育への情熱が保育者の精神的健康及び保育の質に与える影響を明らかにすることを目的とする。情熱は聞き慣れた言葉ではあるが、理論的枠組みに基づいて研究が始められたのは比較的最近である。藤田(2017)はスポーツへの情熱が競技意欲と生活意欲に及ぼす影響を明らかにしているものの、我が国では情熱に関する知見がほとんど蓄積されておらず、特に対人援助専門職を対象とした実証研究は見当たらない。そこで、本研究は保育者を対象として、①保育者の情熱を測定するための尺度開発、②保育者の情熱と精神的健康及び保育の質との関連の検証を3年間で行う予定である。2023年度は、保育者を対象とした保育への情熱尺度の開発及び精神的健康や保育の質との関連を検討する前段階として、保育者養成学生を対象とした調査を行った。その結果、先行研究と同様に調和的情熱及び執着的情熱の2つの尺度構成が確認された。尺度の信頼性としてα係数を算出したところ、調和的情熱はα=.82、執着的情熱はα=.78といずれも高い値を示していた。また、保育への情熱が保育実践力、職務満足感、バーンアウトに与える影響について検討した結果、調和的情熱は他の要因を介在するというよりも,直接的にバーンアウトを抑制する可能性が示唆された。一方で、執着的情熱は直接的にバーンアウトを促進するものの、職務満足感を介することでバーンアウトの進行を抑えられる可能性が示唆された。これらのことから、バーンアウトを防ぐためには,情熱を注ぐ対象を見直すというよりも、日常生活を含めた情熱の注ぎ方を改善し、執着的情熱から調和的情熱へと質的に変化させていくことが必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗はおおむね順調に進展している。2023年度は、保育者養成校に所属する大学生を対象として、事前調査を滞りなく進めることができた。当初の計画に事前調査は含んでいなかったものの、事前調査を行うことで、尺度の安定性の確認や情熱との関連項目の見極めを行うための重要な知見を得ることができた。おおむね、事前調査と同様の項目を使用して本調査に臨むことができそうではあるが、情熱尺度の質問項目については再度検討を行う予定である。得られた研究結果は、鹿児島大学教育学部研究紀要第75号において発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に行った事前調査を基に、保育への情熱尺度の作成及び情熱が精神的健康や保育実践力に及ぼす影響について検討を行う予定である。調査は既に一部の調査を始めており、2023年3月から2024年7月頃までを予定している。事前調査においてもおおむね良好な結果が得られたことから、本調査に向けて大きく変更する予定はないが、質問内容に類似した表現があることから、原文を踏まえ、再度質問内容を検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
計画段階ではアルバイトを雇用しての作業を予定していたため、人件費・謝金に充てる費用を確保していたが、Web調査を活用することにより人件費・謝金に充てる予定であった資金が未使用となった。その分、分析に必要なパソコン、モニター等の器材購入費へと充当させたことで、分析効率が大きく向上し、研究は順調に進んでいる。次年度は学外調査や学会発表が増えることから、学外でも分析効率を維持するためのノートパソコン等の器材購入費や調査票郵送料、封筒やクリアファイルなどの消耗品、論文投稿費等に使用する予定である。
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