2023 Fiscal Year Research-status Report
感染症の拡大が及ぼす短期・長期の影響から自分を守り成長させる力を育む教育
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23K02319
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
渡部 かなえ 神奈川大学, 人間科学部, 教授 (50262358)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 子ども / 大学生 / 共育 / 健康 / 自然体験活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、感染拡大が及ぼす子どもの体や心、生活などの子どもを取り巻く環境への、短期だけでなく長期的な影響から、子ども自身が自分を守り、非認知スキルを育んで、自己を成長させる教育について検証することを目的として行う。 2023年度は、当初の計画通り、まず、新型コロナウイルス感染症の直接的・短期的な影響を把握するために行う調査のうち、比較対象となるコロナ前の子どもたち(幼児)の生活記録を保育所の協力を得て収集し、そこに記載されたデータの量的及び質的解析を行った。 また、子どもと同様に感染症の拡大で心・体・そして社会的にも危機的な状況におかれた大学生が、園児と運動と遊びを通して共に学ぶ共育(アクション・リサーチ)の活動記録、および知的障害・発達障害を持つ子どもたちの自然体験活動にボランティアとして協力参加した大学生のアンケート調査の分析結果から、「子どもと大学生の共育」を通して大学生が自身の危機を乗り越えることにつなげる教育方法に関する知見をえた。 さらに、健康学の学びはどうあるべきかを考え直す機会となったパンデミックを踏まえて、大学生を対象とした健康教育の学習支援についての調査研究を行った。 加えて、外部の影響から自分を守りながら、他者との関わりなしには育たない非認知スキルと自己を成長させる力を育む教育環境や体験を通した学びの成果について、自然体験活動に参加した知的障害・発達障害を持つ子どもたちの保護者へのアンケート調査結果から検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染拡大の直接的・短期的な影響を把握するために、感染拡大前後に行う調査のうち、比較対象となるコロナ前の子どもたち(園児)の生活記録データの収集と解析を行うことができた。 保育士へのインタビュー調査は、施設長の急病と病気休暇取得で現場が混乱したため実施できなかったが、その一方で、当初予定では2026年度に実施予定だった、子どもたちの自然体験活動の参与観察データの分析による非認知スキルと自己を成長させる力を育む教育環境や体験の検証と、子どもと大学生が共に学ぶ共育のフィールドワーク調査結果の分析を前倒しして行い、2023年度中に成果報告まで行うことができた。 また、2023年度中に4回行う予定であった保育園児の観察調査を3回実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降は、2023年度に協力園の事情で実施できなかった保育士へのインタビュー調査を実施していく。また、首都圏の園とは異なる感染拡大の影響を受け、さらに厳しい制約状況に置かれた島(三宅島など)での調査も行い、感染拡大の多様な影響について比較検証を行っていく。 また、大人(大学生)の、子どもたちの運動と遊びを通した育ちの支援へのアクション・リサーチも、遊び自体を大学生が考え、子どもと大学生が一緒に楽しんで活動できる実施方法も大学生が創意工夫して行うことにより、2023年の「園児と大学生が共に学ぶ共育」の調査研究で得られた知見に加えて、「園児と大学生が、共に・主体的・創造的に学ぶ共育」のについての知見を得ることを目指す。 さらに、ロシアの侵攻で安全保障に問題が生じているために実施できない状態が続いている北欧スウェーデンのドキュメンテーションを活用した幼児教育の調査を、国際情勢を鑑みながらになるが、実施の方向で現地の協力先(幼児教育・保育施設など)と相談を進めていく。また、ニュージーランドのラーニング・ストーリーを活用した調査の実施について、現地の協力先(幼児教育・保育施設など)と相談しながら進めていく。
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Causes of Carryover |
海外(スウェーデン)に出張して調査を行うことを予定していたが、ロシアのウクライナ侵攻で距離的に近いスウェーデンは安全保障上の懸念が大きく、出張を見合わせた。そのため、次年度使用額が生じた。国際情勢が平定され安全が確認できればスウェーデンに出張して調査を2024年度に行うが、引き続き危険な状態が続くようであれば、2024年度はニュージーランドでの調査及び国内の島とう地域(三宅島など)での調査に使用する計画である。
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