2023 Fiscal Year Research-status Report
メタヒストリー学習に基づく「社会に開かれた歴史教育実践」の実現化促進条件
Project/Area Number |
23K02337
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
服部 一秀 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60238029)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | メタヒストリー / 歴史文化 / 歴史教育 / 学習指導要領 / 現在との関連 / 社会との関連 / 自己との関連 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会の中の広義の歴史に関するメタヒストリー学習に基づいた社会認識教育・社会形成教育としての「社会に開かれた歴史教育実践」を歴史教師が行おうとするとともに、実際に行うことができるためには、何が条件となるかを究明しようとするものである。その課題の解決のため、歴史文化(Geschichtskultur)という考え方のもと、社会の中の広義の歴史に関する分析・判断の学習を取り入れるドイツの歴史教育に着目し、そのような教育実践が実現化しうる要因を総合的に探る。 初年度の2023年度においては、歴史教育のコンテクストの形成という側面に着目し、メタヒストリー学習に基づく「社会に開かれた歴史教育実践」の実現のため、学習指導要領や試験では何が条件となるか、という課題に取り組んだ。具体的には、日本の学習指導要領に相当するドイツ各州のレアプラン等の教育課程基準、及び、後期中等教育にあたるギムナジウム上級段階の修了資格試験であるアビトゥア試験をもとに、各州の中等歴史教育における歴史文化の取り扱いを調査した。同国における社会の中の歴史に関するメタヒストリー学習としての歴史文化に関する学習の動向を整理・把握した。 殆どの州において、歴史科のアビトゥア試験の基盤ともなるギムナジウム上級段階のレアプラン等の教育課程基準では、歴史文化に関する言及がなされているものの、歴史教育における取り入れ方は一様ではない。例えば、内容として取り入れる場合も、歴史文化に関する学習を歴史科の全ての単元において位置づけるものもあれば、限定された単元においてのみ位置づけるものもあるし、導入単元において位置づけるものもあれば、終結単元において位置づけるものもある。そうした状況を把握し、代表事例を分析検討し、その一端を社会系教科教育学会の第35回研究発表大会において発表した(2024年度においてはその論文化をめざしたい)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の2023年度においては、当初の研究計画に従い、歴史教育のコンテクストの形成という側面に着目し、学習指導要領や試験では何が条件となるか、という課題について取り組んだ。ドイツ各州のレアプラン等の教育課程基準、アビトゥア試験などをもとに、各州の中等歴史教育における歴史文化の取り扱いを調査し、社会の中の広義の歴史に関するメタヒストリー学習の動向を把握した。動向把握のもと、代表事例を分析検討し、その一端を社会系教科教育学会の研究発表大会において発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度においては、2023年度に行った学会発表を加筆修正して論文化する。また、歴史教育の主体の育成という側面に着目し、ドイツにおける歴史教師の養成・研修について調査し、社会の中の広義の歴史に関するメタヒストリー学習を促進するための条件について歴史教師教育の観点から検討する。 2025年度~2027年度においては、歴史教育の実践の支援という側面に着目し、教材(教科書等)の整備、歴史教育の研究、学校外の教育活動・社会活動との関係性に関して調査・分析し、促進の条件について検討する予定である。
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