2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of experimental material to realize the evolution of creatures by EVE encoded by parasitoid genes.
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23K02373
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
中松 豊 皇學館大学, 教育学部, 教授 (00456617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 友美 皇學館大学, 教育学部, 助教 (60881331)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | EVE配列 / 教材開発 / カリヤサムライコマユバチ / DNA / 高等学校 / 生物 / アワヨトウ / ポリドナウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は検討の結果以下の結果を得た。まずは材料として使用する昆虫種の検討であるが、チョウ目昆虫であるアワヨトウ幼虫(寄主)に寄生する寄生蜂カリヤサムライコマユバチ(ハチ)が妥当であるとの結論に達した。理由はカリヤコマユバチの雌蜂の卵巣にはカリックス部という部位が存在し、そこでポリドナウイルス(PDV)が産生される。このポリドナウイルスはハチが産卵する際に、卵とともに寄主体内に移動し、寄主の血球や脂肪体に侵入し自らの遺伝子を発現させタンパク質を生成することがわかっているからである。現在考えているターゲットの候補の一つはCky811という、特定のタンパク質を認識するC型レクチンというタンパク質である。 この遺伝子を発現させるためには寄主に異物を注入しなければならない。現在当研究室では寄生蜂の幼虫かセファデックスビーズを、アワヨトウに移植しているのでこれらを候補として挙げておきたい。移植方法については教科書に記載されているシリンジによる注入が妥当であると考えている。 最後にPDVの抽出とウイルス粒子の観察法およびこの粒子がDNAを持っていることを示す方法の検討であるが、PDVの抽出については当研究室で確立されているが、高校生には難しいと考えられるので、現在はハチの腹部だけを分離し、乳鉢に入れて生理食塩水またはPBSの中ですりつぶし抽出する方法を考えている。ウイルス粒子の観察法およびこの粒子がDNAを持っているか否かの観察法については、ハチが寄生した寄主を解剖して脂肪体を取り出し、RNAの抽出およびPCR法を用いて、Cky811遺伝子の増幅を行った後、アガロース電気泳動を用いてCky811遺伝子を可視化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の計画は、1.材料として使用する昆虫種の検討、2.アワヨトウ体内に移植する異物とその移植方法の検討、3. PDVの抽出とウイルス粒子の観察法およびこの粒子がDNAを持っていることを示す方法の検討である。 1に関しては当研究室で継代飼育している、アワヨトウ(寄主)とカリヤサムライコマユバチ(ハチ)を供試する予定である。寄主もハチも常時すべての発育段階を維持しているので、この研究の材料として常時供給できるようになっている。 2に関しては、当研究室で移植する異物として、ハチの幼虫とセファデックスビーズを用いている。セファデックスビーズについては市販されているので、汎用性が高いと考えられる。また、これらを寄主にマイクロキャピラリーを用いて注入するが、これはあまり一般的ではないので、食作用の観察・実験に使用する、シリンジが適当であると考えられる。 3に関してはこれから行う予定になっているが、ウイルスだけを抽出し、核をヘキストで染めてみる予定になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の計画がおおむね順調に進んだので、令和6年度は当初の計画通りに進めたいと考えている。令和6年度の計画は1.ウイルス粒子とアワヨトウ体内におけるウイルス粒子の可視化、2.PDVに感染したアワヨトウ血球の採取方法の検討、3. アワヨトウ血球に感染したPDV遺伝子の解析である。これらを遂行するために以下のような方法で、代表者、分担者、協力者が担当する。 1についてはあらかじめハチの体内からPDVを抽出したときに、ヘキストによる蛍光染色を行い、これを人工的に寄主に注入し一定時間経過すれば、このPDVは脂肪体に感染するので、寄主から脂肪体を取り出し、自作の簡易蛍光顕微鏡で観察することにより、識別することができるものと考えられる(中松、澤担当)。 2についても1と同様に蛍光染色したPDVを、人工的に寄主に注入し、一定時間後に血球を採取した後、蛍光顕微鏡で観察する。そのとき、どの血球種にPDVが感染しているかも同定する(松谷、中松、澤担当)。 3についてはPDVが感染した血球を集めて、Cky811の遺伝子が発現しているか否かを、遺伝子を抽出し電気泳動を行うことにより可視の検討を行う。(奥村担当)
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Causes of Carryover |
令和5年度に予定していた、カリヤサムライコマユバチから抽出したポリドナウイルスを染色し、可視化する実験がまだ終了していないので、その分の予算執行が遅れた。この実験については令和6年度初旬から中旬にかけて行う予定なので、そのときに使用する。
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